実例で紹介!スペイン語のUstedとTúの違い、その切り替わるタイミングとは? | mikolog

実例で紹介!スペイン語のUstedとTúの違い、その切り替わるタイミングとは?

ラテンアメリカの旅

スペイン語で「君、あなた」を意味する二人称(Tú)と三人称(Usted)の使い分けって、考え出すと結構難しいですよね!初対面で会った人と、その当日にUstedで話すのはよいのですが、「次回以降に会った時に、いつまでUstedで話せばいいのか?」と、ふと考えちゃうこと、ありませんか?

使い分け方も、国や地域によって違うみたいなので、現地の人に聞くのが一番。ということで、実際にメキシコ人に聞いてみました。メキシコでの「TúとUstedの違いと、その使い分け方」、そして「UstedからTúに変わる瞬間」、また「メキシコでの二人称複数形(君たちを意味する言葉)の使い方」について、シチュエーションの実例を交えてご紹介します!

これを読めば、メキシコ人と話す時の「TúとUstedの使い分け方」、そして「どういう場合にUstedからTúになるのか」が分かっちゃいます!早速読んでみましょう。

二人称(Tú)と三人称(Usted)の違い

まず「Tú」と「Usted」は、どちらも英語で言う「You」の意味ですが、次のような違いがあります。

  • 二人称(Tú):友達言葉(親しい人、家族に対して使う)
  • 三人称(Usted):敬語(目上の人、初対面の人に対して使う)

そしてご存知の通り、スペイン語では二人称と三人称で、動詞の活用が異なります。二人称で話すのか、三人称で話すのかによって、使う単語が全く変わってきます。それを現在形・未来形・過去形など、それぞれ全部使い分けるのは、初心者には結構ハードルが高いですよね。

でも、友達言葉と敬語の区別があって、お互いの関係性によって使い分ける部分は、ちょっと日本語と似ています。それでは「Tú」と「Usted」の使用事例を元に、違いを考察してみましょう!

二人称(Tú)使用事例

筆者がスペイン語圏(メキシコ、スペインなど)にいた時、二人称(Tú)で話した事例は、次のような場合でした。

  • 同年代の友達同士で話す時
  • 通りで目上の人に話しかけられた時
  • 学校の先生が生徒に話す時(Ustedを使う先生もいた)
  • 通りでナンパされた時

主に同世代の友達同士でのおしゃべりや、語学学校の先生で仲がいい人には「Tú」で話していました。生活の半分以上は「Tú」を使っていた気がします。

オアハカ(メキシコ)で地図を見ながら歩いているときに、知らないおじさんが「何か探してるの?」と声をかけてくれました。探していたお店への行き方を教えてもらったのですが、その時はお互いに「Tú」で話しました。

また、現地の人同士の初対面ぽい会話を聞いていると、結構な年齢差があっても「Tú」を使う人が多い印象です。電車で居合わせた年配の人と若い人が雑談している時や、お店の人がお客さんに話す時も、お互い「Tú」で話していたり。こんな場合も「Tú」でいいのか!と思いました。

三人称(Usted)使用事例

次に、三人称(Usted)を使った事例は、次のような場合でした。

  • 学校の先生が生徒に話す時(Túを使う先生もいた)
  • 企業に手紙を書く時
  • 企業から手紙の返事が来た時
  • メキシコ人の機長(上司?)と話す時

主にビジネスの場や、あまり知らない人と話す時には三人称が使われている、という実感です。

筆者は航空業界で働いていたのですが、乗務員でメキシコ人の機長が時々乗ってくると、スペイン語で少し話すこともありました。その際の使い分けは、次のような感じです。

  • メキシコ人機長→筆者:Tú
  • 筆者→メキシコ人機長:Usted

基本的には、機長(ある意味、上司とも言える)からは「Tú」でフレンドリーに話しかけていただきました。彼は、四六時中メキシカン・ジョークを言って笑わせてくれるような面白い方でしたが、空港でしか会ったことが無いので、筆者が話す時は敬意をこめて「Usted」を使っていました。(三人称は普段あまり使いなれていないので、考えながら話した記憶があります!)

「Tú」ではなく「Vos」を使う地域も

ここまで当然のように二人称(Tú)と記載してきましたが、実は、二人称で「Tú」を使わない地域もあるのです!

アルゼンチンに行った時、現地の方は二人称で「Tú」を使わずに、「Vos」と言っていました。二人称複数形の「Vosotros」を短くした感じかな、と何となく意味は分かった記憶が。(彼らがなぜVosを使うのかは分かりません。。)

メキシコ人に使い分けを聞いてみた

メキシコで泊まったホテルのオーナー(女性)と仲良くなり、メキシコについて色々教えてもらいました。その際、「TúとUstedの違いと使い分け」についても聞いてみました。メキシコでの使い分けは、次のような感じでした。

ポイントは「距離感」

彼女の意見では、TúとUstedの使い分け方は「その人の生活や人生(Vida)を知っているかどうか」だと言っていました。(ちなみに、彼女は「Vida」という言葉を使いましたが、「生活や人生」と訳させていただきました。)

まずメキシコでは、会社で部下→上司に対して話す時は、「Usted」を使うそうです。その時点では、仮に上司→部下に対して「Tú」で話してきても、部下からは「Usted」で話すのだと。

でも、だんだん仲良くなって、上司の日常生活や人生(Vida)を知るようになると、部下→上司でも「Tú」を使い始めることがあるのだそう。役職や役割で使い分けるというよりは、相手との距離感で使い分けていると教えてくれました。

ちなみに、「Tú」で話すことを「Tutear(動詞)」と言うそうです。仲良くなって、三人称が不適切になってきたら、「Tutearしてもいい?」と宣言して「Tú」で話すのもアリですね。

日本では、会社で上司に対して友達言葉を使うことは、基本的にはないので、その辺りは日本語とは少し異なりますね!

メキシコでは二人称複数形(Vosotros)が無い

なお、メキシコでは二人称複数形(Vosotros)が存在しません。三人称複数形と同じ活用を使うのです。(理由は分かりません。。)

メキシコの語学学校で習った、動詞線過去形の活用

上記は、メキシコ・グアナファト州の語学学校で、文法の授業に参加した時のノートです。線過去形の活用について書いてあります。これがもしスペインのスペイン語だと、「二人称複数形 -abais/-iais」という活用が別途存在していますが、メキシコの文法ではありませんでした!

このようにメキシコでは、二人称複数形(Vosotros)と三人称複数形(Usteded)がひとまとめになっており、区別がありません。「Vosotros」を使わず、二人称・三人称の複数形はどちらも「Ustedes」を使うのです。

メキシコ人に二人称複数形で「Ustedes」と言われた話

筆者は、以前スペインを友人と旅行中、同年代ぐらいのメキシコ人女性と仲良くなりました。彼女はスペインに留学中だったので、学校生活の話や、恋愛の話を聞いたりして、3人でずっとおしゃべりしていました。

メキシコ人の子とは、お互いに「Tú」で話していたところ、ある時いきなり「Ustedes」と言われて、びっくりした記憶があります。当時の筆者は、メキシコで二人称複数形と三人称複数形を区別しない、と知らなかったのです。

「あれ今、Ustedesって言ったよね、距離を取られている・・・!?」と少しびっくりしてしまいました。相手が三人称(Usted)で話す場合は、こちらも当然合わせるべきだよね?とか色々考えてしまい、それまでずっと当然のように二人称モードだったので、ちょっとバグってしまいました!笑

その時は一瞬、「自分もUstedを使った方がいいのかな?」と考えましたが、彼女の他の会話では、明らかに「Tú」を使っていたので、まあいっかと思い「Tú」で話し続けた記憶が。当時一緒にいた筆者の友人は、あまりスペイン語を話さない子だったので、「Tú」と「Usted」の区別についてその場で聞くこともできず、一人で引っかかっていました。笑

後になって、「メキシコでは二人称複数形(Vosotros)を使わない」と知って、あの時のメキシコ人の子は、別に三人称で話した訳じゃなかったのか!と理解しました。

三人称(Usted)から二人称(Tú)に変わった瞬間

そして、最初は三人称(Usted)で話していた人が、ある時から二人称(Tú)を使うようになった瞬間も。ちょっと相手が親しみを感じてくれたのかな?と嬉しい瞬間です!

メキシコの語学学校で、1週間クラスに参加した時のこと。生徒が6人ぐらいのクラスで、メキシコ人の先生が一人で見てくれました。先生と月曜日に初対面で会った時は、「Usted」とはっきり言われました。インディオ系の渋い感じの先生だったので、筆者も敬語で話そうと思い、「Usted」で話していました。

その後、毎日1時間のクラスが進み、日本での仕事のことや、日本の文化(ひな祭りや子供の日など)の話をしていると、三日目の水曜日には「Tú」で話してくれるようになっていました!

同じ学校の先生でも、他のクラスでは最初から生徒に対して「Tú」で話す先生が多かったので、二人称と三人称の使い分けって奥深いな、と思っていました。二人称と三人称は、お互いの関係性によって変わっていくんですね。

二人称しか使わないスペインのアンダルシア地方

なお、二人称しか使わない地域もあるのです。特にスペイン。南部のアンダルシア地方に行くと、基本的に大人も子供も二人称(Tú)しか使いませんでした!そんな地域は、他にもありそうですね。

筆者は、この「二人称ワールド」であるアンダルシアが、スペイン語圏で最初に訪れた都市だったため、今でも「Usted」の使い方に、ちょっと注目してしまうのかもしれません!

まとめ

以上、スペイン語の「TúとUstedの違いとその使い分け方」と「UstedからTúに変わる瞬間」、そして「メキシコでの二人称複数形の使い方」について、メキシコ人に聞いた使用方法の違いや実例を書かせていただきました。

なお、メキシコのグアナファトに行った時の写真が、まるっとどこかに行ってしまったため、本ブログのサムネイル画像は、メキシコシティの写真が貼ってあります。(T-T)

こんな時、何と言えばよいかというと、スペイン語で「se peridio las photos.」。そう、「(自分ではなく)何かが写真を無くした」という、例の責任転嫁の文法を使うはずです。日本語で言えば「私が写真を失くしました」、英語では「I lost pictures」ですが、スペイン語では「第三の何か」の責任にしちゃうのが可愛くて素敵ですよね!

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

それではまた!

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