せっかく旅行に行くなら、日本からなるべく遠い場所に行って絶景を見てみたい!と思ったことはありませんか?日本の裏側・南米大陸のパタゴニアには「氷河ツアー」があり、参加すれば誰でも見れてしまいます。
「南米とか遠くてなかなか行けないけど、どんなツアーなの?」とか、「そもそも治安は大丈夫なの?」と、不安がある方もいるかもしれません。
そこで今回、筆者が女性一人でパタゴニアに氷河を見に行ってみた時の様子を記事にしています。必要な準備、ツアーの様子など、実体験に基づいたお役立ち情報を書いていきます。
これを読めば日本の裏側に行く準備は完璧です!現地情報を手に入れて、次の旅行を楽しみましょう。
起点となる町・カラファテへの行き方
パタゴニア地方は南米大陸の南緯40度以南にあり、アルゼンチンとチリの2国にまたがる地域。
氷河ツアーの拠点となるのは、「エル・カラファテ」という小さい町です。カラファテには、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスから飛行機で行くのが便利です。
- 日本からブエノスアイレスへの行き方
- 北米経由(ニューヨーク、ロサンゼルス、メキシコシティなど)
- ヨーロッパ経由(アムステルダム、マドリード、パリなど)
- 中東経由(ドーハ、アブダビなど)
- ブエノスアイレスからカラファテへの行き方
- 飛行機(国内線)で約3時間(アルゼンチン航空、ラン航空)
- バス(ルート40をひたすら南下する、2日ぐらいかかるらしいので、時間がある人向け)
筆者は、下記のようなルートで行きました。
- 東京→NY(14h)→ブエノスアイレス(11h)→カラファテ(3h)
丸一日以上飛行機に乗っていたので、結構辛かったです。乗り継ぎの時間待ちを含めたら、二日ぐらいかかってます。
が、逆に言えば、チケットを買ってひたすら飛行機に乗りさえすれば着くということです!シンプルですね。

東京-NYは、航空会社スタッフの割引チケットで乗ったため、実を言うと税金ぐらいしか払っていないのですが、「満席になった場合は乗れない」という制限付きのチケットなので、許してください。
そう、つまり値段は破格ですが、空港のチェックイン・カウンターや搭乗口で「この便は満席になったからスタッフは乗れない」と言われたら最後、問答無用で有償のお客様に席を譲らなければならないチケットです。
それによって、当日家に帰れなくなったとしても、当然ながら宿の手配などは自己責任。このチケットを使ったがために、仕事に行けなくなる人も定期的に出るという、サバイバルなチケットです。
NY-ブエノスアイレス間は、アメリカン航空で往復15万円ぐらい。NYで乗り継ぎに6時間ぐらいあったため、エアポートホテルでシャワーと仮眠を取りました。(料金はデイユースで7千円ぐらい)
この時は、「元気だったらニューヨーク市内に遊びに行こう」なんて考えてましたが、エコノミークラスの狭い座席にずっと座っていたためか、結構ぐったり来ていました。笑
NYの空港で、ブエノスアイレス行きの搭乗口に来ると、あちらこちらからスペイン語が聞こえてきます。理路整然とした英語と違って、スペイン語は何となく人間味がある響きです。
「なぜか主語を言っても言わなくても良い」という、ゆるいところも好き。以前スペイン語を勉強していた筆者は、「帰ってきた」感がしてきます。

ブエノスアイレス―カラファテ間は、アルゼンチン航空で往復6万円ぐらいでした。いわゆる「アエロリネアス・アルヘンティーナ」です!
筆者は普段は極力荷物は減らし、チェックインしないようにしていますが、今回は防寒着などで荷物が増えてしまい、やむなく1個預けました。
カラファテから氷河ツアーに参加するには

氷河ツアーの起点となるカラファテは人口約8000人の小さな町。風は強いですが、そのおかげか空気が澄んでいて、景色が美しいです。
画像はカラファテの北部にある「ニメス湖」で、水鳥や動植物も見られます。ブエノスアイレスのような大都市と比べると、町全体が穏やかなムードなので、カメラを片手にのんびり滞在したい方にもおすすめ。
町の治安は良いと思いました。ラテンアメリカの大都市圏と比較して、路上の浮浪者は見かけたことはなく、ピリピリした雰囲気も皆無。
自然に囲まれた小さい町で、氷河ツアーなどで外国人観光客がたくさん訪れていることも一因かもしれません。地元の方も観光客を見慣れている様子で、日本人が集まる宿の近くは、簡単な日本語で声をかけてくれる方もいて、日本人慣れしている感じでした。
ただ英語はあまり通じないので、スペイン語の数字や簡単な単語を覚えて行くと、買い物の時などちょっとした会話に便利です。
カラファテの旅行会社や滞在先ホテル等では、氷河ツアーを販売しています。短いもので半日ぐらいの日帰りツアーから、長いものでは宿泊を伴う数日間のツアーなど、様々な企画があるので、目的に応じてお気に入りのツアーが見つかります。
筆者は日帰りの現地ツアーの中でも、一番メジャーなペリト・モレノ氷河のミニ・トレッキングツアーに参加しました。料金は日本円で1万5千円ぐらいだったと思います。
他にもウプサラ氷河へ行くツアーなどもありましたが、まずは有名どころということで、今回はペリト・モレノにしました。
それではツアー参加のための準備の様子をご紹介します!
何が必要?準備編
氷河を見に行く時に絶対に忘れてはならないこと、それはできる限りMAXの防寒対策を行うということです。
筆者がパタゴニアに行ったのは4月、南半球では秋口です。とりあえず日本の「秋」のイメージで、暖かめのジャケットを持っていき、カラファテ市内では問題なかったため、氷河もそれでいけるだろうと考えていました。
が、カラファテでペリト・モレノ氷河に行った旅人がいたので話を聞いたところ、「とにかく寒い、めっちゃ寒い」とのこと。
筆者が「近々行く予定」という話をすると、「全身がカバーできる防寒着の方がよい」というアドバイスをもらいました。
でも正直言って、「全身がカバーできる防寒着」なんてものは持ってませんでした。うーむ、どうしよう、と思い、宿の人に相談です。
ありがたいことに、宿のお母さん(みたいな人)が、即答で「いいよ!」と、「Antarctica(南極大陸)」と書かれた、南極旅行用の大きな防寒着を借してくれました。その節は本当にありがとうございました。。( ;∀;)
氷河ツアーの準備物として、最低限あると良いと実感したのは、以下の通り。
- 手袋
- ニット帽
- 全身がカバーできるコート
- サングラス(雪が反射してまぶしい)
- 小さめバックパック(両手が使えるように)
- 雪や晴れなど、気象の変化に対応できる装備

画像が、宿で借りて着て行った「南極」です。
余談ですが、これを着ていると、カラファテの町ですれ違う色んな国の人に「おっ!南極行ったの?」などと話しかけられて面白かったです。「行ってないよ、寒いから着てるだけ!」と毎回説明していました。笑
いつか南極にも行ってみたい!とテンションが上がります。
氷河トレッキング・ツアーに出発
氷河ツアーの朝は早い。朝7時に近くのバス停に集合だったため、宿から10分ぐらいの距離を歩いて向かいます。
同じ宿の日本人女性2名と仲良くなり、途中から一緒に行動しました。そのうち一人は世界一周中、もう一人はオーストラリア在住の方でした。午前7時だと辺りはまだ暗くて、空気がキーンと冷たいです。
同じバスに乗っていたのは、欧米からの観光客が10名前後。
朝ごはんは、3人で一緒に近所のパン屋さんでゲットして、バスの中でいただきました。これは覚えておいて損はないのですが、カラファテは美味しいパン屋さんが多く、しかも朝早くから営業しています!
甘いパンが多いですが、プレーンなパンも美味しいので毎日食べても飽きませんでした。この日は3つぐらいパンを買って食べました。値段は覚えていませんが、物価は日本とそんなに変わらなかったと思います。

ツアー参加者が全員揃うと、バスが出発します。
筆者はパタゴニアの朝焼けがあまりに綺麗だったので、ひたすら撮影しようとしており、全くバスに待たされた気がしませんでした。
画像は、バスの中から見た市内の朝焼け。空気が澄んでいるためか、月を肉眼で見た時に、月の影の部分まで全部見えたのが驚きでした!
ロス・グラシアレス国立公園に到着
ペリト・モレノ氷河は、ロス・グラシアレス国立公園という広大な公園の一部。ユネスコの世界遺産に1981年に登録されています。
国立公園に入る時に入園料を徴収されるものの、車内で全員分を集金してくれたので降りなくても大丈夫でした。金額は日本円で2500円程度だったと思います。集金所を過ぎてしばらくすると、やがてバスがストップし、到着です。
朝、カラファテ出発時の天気は「晴れ」。
朝焼けが非常にきれいだったのですが、国立公園に到着する頃には天気は急変、雪が横殴りに降る「吹雪」に変わっていました。
ロス・グラシアレス国立公園は面積4459㎢、ペリト・モレノ氷河以外にも下記のような自然遺産を管理し、キャンプ場を有し、トレッキング、クライミング、船での氷河観光などが可能です。
- フィッツ・ロイ山
- ウプサラ氷河
- スペガッツィーニ氷河
- ビエドマ氷河
国立公園の中に、山や氷河があるというのは、さすが南米大陸。
日本とは全く異なるスケール感ですね!
氷河の上をトレッキング

公園に着くとすぐに船に乗り、対岸の氷河に渡ります。
画像は、だんだん晴れて太陽が出てきたペリト・モレノ氷河。筆者はこの時初めて知ったのですが、「氷河って青い」んですね。
氷河の色が青い理由をツアーガイドさんに聞いてみたところ、「水の透明度が高いからだよ」と教えてくれました。
それにしても氷河って、どこから写真を撮っても絵になります!
ペリト・モレノは全長約35㎞、表面積は250㎢、湖面からの高さは約60m。その奥に見える山は「Cerro Negro(ネグロ山)」でしょうか、高さは約1486mです。

ツアーガイドさんは2名、アルゼンチン人でした。
英語で注意事項を説明してもらい、靴に「アイゼン」を取り付けてもらい、氷河の上を歩きます。当然のことながら、アイゼンを付けていると上手く歩けませんが、ゆっくりマイペースで大丈夫。
「アイゼン」とは、氷の上などを歩く時に靴底に装着する、金属の爪が付いた滑り止めです。
下の画像を見ると、靴の上からとげとげしたものを装着しているのが分かります。これがあれば、滑らずに氷の上が歩けるというわけです。
アイゼンのレンタル料も、ツアー料金に含まれていました。

ツアーでは、画像のように、ガイドさん同士が常にコミュニケーションを取り、氷の状況を相互確認しながら歩きます。
上の画像のように、一人が氷を叩いて強度などを見て、もう一人が近づいて目視確認後、通ったり中に入ったりしていました。ペリト・モレノを歩きなれているプロの人でも、必ず氷の状況を確認しながら歩いているのですね。

「プロ以外は氷河の空洞に入ってはだめ」と、ガイドさんは参加者に注意をしたうえで、小さめの空洞を通り抜けています。
最初は「私たちに見せるために入ってくれたのかな?」と思いましたが、道中何回も空洞に入るので、次第に「もしかしたら氷河の状態を把握して、安全にトレッキングするためのチェックなのかな」と思ったぐらい。

ツアー参加者は20名程度、オセアニアやヨーロッパからの観光客が多かったです。男女比は半々ぐらいで、中高年と思われる方も多く、年齢層は高めでした。
全員がサイズの合うアイゼンを装着し終わるまで、一緒にいた日本人たちと写真とか取りながら待ちました。

上の画像は、ペリト・モレノ氷河の上をトレッキングしている様子。
さっきは一瞬晴れていたのに、また雪が降ってきます。短時間で天気がどんどん変わるので、「吹雪、曇り、晴れ」と、全部の氷河を見ることができました。

上の画像は、トレッキング中にふと顔を上げて、周りを見渡した時の景色。
氷河の向こうにはどこまでも山が続いていて、雪を頂いた山頂が美しい。右側の山は少し紅葉も見られて、地球の大自然を満喫した気分になります。
ところどころ氷の切れ目があるのですが、これは深いと数十メートル、数キロメートルにも及ぶことがあるのだそう。「大変危険だから近づいてはいけない」とガイドさん。

最初は寒かったけど、不慣れなアイゼンをつけて氷河の上を一生懸命歩いていると、だんだんポカポカしてきます。
でもこの辺りの景色は、どこかのスキー場だと言われても納得してしまいそうな「雪山」でした。。

道中、ガイドさんが参加者にウィスキーを作ってくれました。氷をよく見ると、氷河のキレイそうな部分をガリガリ削って、氷として使用しています!
「ウィスキー・氷河ロック」ですね、オサレ。

どうやら、ツアーでの途中の休憩スポットとして、グラスやテーブルなどは現地に準備してあった模様。筆者としても氷河の上を歩くのは予想以上に消耗したので、この休憩タイムは嬉しかったです。
参加者でテーブルの周りを囲んで、おやつのクラッカーもいただきながら、皆で立ったまま乾杯。

トレッキングの後、ツアー参加者は、船で氷河の近くまで見学することができます。
上の画像は、手前が海、その上が氷河、その上に断層、その上が山となっています。
この山は多分「Cerro Moreno(モレノ山)」で高さは約1640m。その奥に連なるように見えるのは「Cerro Cervantes(セルバンテス山)」でしょうか、約2380mの山々です。
実はペリト・モレノ氷河は常に動いていて、中央部は一日に平均2mも移動していると言われています。この断層について船内で特記説明があったわけではないのですが、「氷河が動いていて、その結果地面も少しづつ動いてこのような隆起が起きたのかな」と考え、すごいなーと眺めてました。
特にこれが無造作に横たわっているのを間近で見ると、「地球の歴史」を肌で感じ、歳月の長さとスケールの大きさに圧巻でした。
小学校の時に理科で、地層について習った気はしますが、「地層が隆起」とか言われても、超文系人間の筆者には、「地面が動く」ということが想像できず( ゚д゚)ポカーン でした。
でもここに来て初めて、地層とか隆起の意味が実感できました。ありがとうパタゴニア。。
展望台から堪能する

氷河トレッキングの後、ペリト・モレノ全体を眺めることができる展望台に来ました。
階段は画像のような感じで、そこまで急なものでは無かったと思います。筆者が行った時は人数制限なども無く、気が済むまで氷河を見ることができます。
ただ「氷河トレッキング」という人生でも数少ない体験をした後で立ち寄ることになるので、足腰は鍛えておくに越したことはないでしょう。。筆者は氷河ツアーの翌日、全身筋肉痛でした。笑

上の画像は、展望地点からの眺めです。
「氷河は急に崩れてくることがあり、近づくと危険」とツアーでは言われており、あまり近くまでは行けないのですが、展望台からならゆっくり見ることができます。
ペリト・モレノが常に動いているため、特に夏場(12月~3月)は、氷河が崩壊する所を見ることもできるそうです!

壮大すぎてカメラのファインダーに収まりませんでしたが、大自然を前にすると人間はテンションが上がります。
ただ展望台は100%外なので、とにかく寒い!最強のコートである、我らが「南極」を着ていても、ずっと鼻水が止まりませんでした。笑

上の画像は、氷河の左の方です。
大きすぎて一枚に収まらないので、「左、中央、右」に分けてみました。

上の画像が、ズームアップした右の方の氷河。
周りの山々には雲がかかっていて、雪を頂いた山頂も見えますね。ここまでの大自然の真ん中にいると、「地球大好き、ありがとう(´;ω;`)」みたいなマインドでした。

画像は、公園内の案内図。
氷河を色んな地点から見ることができる造りになっています。目に見えている氷河は、ペリト・モレノ氷河全体からすれば、ほんの一部だということに驚かされます。

ここで手書きで恐縮ですが、地図で見てみます。
赤色が、おおよそのツアーでの導線。
ツアーバスは、カラファテからA地点の船着き場に到着し、対岸のB地点に船で渡りました。そこで準備をしてから、赤色の導線のイメージでミニ・トレッキングを行いました。
トレッキングの所要時間は1.5時間ぐらいだったと思います。
その後、船で氷河を見ながらAに戻り、C地点の展望スポットを1時間ぐらい散策する、というツアーでした。
まとめ
以上、「パタゴニア・カラファテへの行き方、カラファテから氷河の現地ツアーに行く方法、ツアーの準備、ペリト・モレノ氷河のトレッキング・ツアーの模様」について詳しくご紹介しました。
日本からアルゼンチンは遠いですが、行ってみた実感として、パタゴニアの氷河は絶景でした。そして空気が澄んでいて、見るものすべてが美しい、という魔法のような町でした。
自分の目で見てみる価値は十分あると思います。飛行機に丸一日乗っていれば連れて行ってくれますし、カラファテ市内は治安も悪くないですよ。
ただ皆様は、寒さ対策はお忘れなく!
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