海外の空港で、自分が予約していた飛行機が欠航(キャンセル)になってしまったら、どうすればよいでしょうか。日本ならまだしも、海外でトラブルに遭っちゃうと、困りますよね。
今回は、海外で飛行機が欠航になったときの対応について、次のポイントを書いていきます。
- 便の振り替え、航空券の払い戻し、補償確認のポイント
- スタッフ目線で見た、日本人が注意したい点
- 体験談:インド・デリー空港で飛行機が欠航した結果
この記事を書いている人は、航空会社で長年、飛行機の欠航対応などをしてきた人。旅行が大好きで20か国以上行っているため、自分自身が海外で欠航にあたった経験もあります。
これを読めば、海外で飛行機が欠航になってしまった時の対応のポイントが分かっちゃいます。
早速読んでみましょう。
海外の空港で飛行機が欠航になったら
海外の空港で、自分が予約していた飛行機が欠航(キャンセル)になってしまったら、どうすればよいでしょうか。
まずは、大きく分けて次のような対応を航空会社(または代理店)に依頼します。
- 振り替え便を用意してもらう
- または、航空券の払い戻しをしてもらう
- 補償があるかどうか確認する
このように、ざっくりと分けて3つポイントがあります。
一つずつ、順番に見ていきましょう。
①振り替え便を用意してもらう
一般的な航空会社であれば、仮に便がキャンセルになった時には、振り替え便を準備してくれます。
旅客側としては、会社の準備する振り替え便を確認します。もし、振り替え便の案内がない場合は、こちらから確認しましょう。
航空会社から振り替え便を準備してもらったら、チケット(航空券)の詳細をその場で確認します。
ここでは、主に次のようなポイントを見ておきます。
- 出発日、到着日
- 出発空港、到着空港
- 発着時刻
- 発着ターミナル
- 直行便であるかどうか、など
チェックポイントは、上のような「スケジュール、出発地、到着地、時刻、直行便」など。
一通り目を通して、問題ないか確認し、都合が悪ければ、その場でスケジュール調整を相談します。
②払い戻し(リファンド)をしてもらう
ただ、このように振り替え便をもらっても、自分のスケジュールと合わなかったり、どうしても都合が悪い場合もありますよね。フライトの予約変更で対応できない場合には、航空券の払い戻し(リファンド)を依頼することも可能です。
払い戻し手続きは、その時の状況にはよりますが、だいたい次の2パターンに分かれます。
- 空港の発券カウンターで、その場で払い戻ししてもらう
- 空港では払い戻しをせず、予約センターに対応を依頼する、など
このように、「①その場で払い戻しする場合、②予約センターなどに事後申請する場合」の2パターンが考えられます。
状況によっては、「①その場で払い戻し」が可能な場合もあります。ただ、その時の払い戻し件数にもよって対応できないこともあるので、割合としては多くないでしょう。
一方、何百人・何千人もの処理が必要な場合や、空港に発券機能がない場合などは、その場で行わないケースも多いです。つまり、「②予約センターなど専用の部署で対応する」という場合。
このように、払い戻しを事後申請する場合は、空港では係員に次のことを確認しておきましょう。
- 払い戻しの手順
- 予約センターなどの連絡先
- 払い戻しに必要な書類
- 払い戻しにかかる期間、など
その際、口頭でも悪くはないのですが、できればこれらの情報は「紙や書面で」もらっておくようにします。
そうすれば、後で些細なことを「言った・言わない」という事態も防ぐことができ、お客様としても当日の証拠になって便利です。
以上、航空券の処理に関しては、「振り替え、または、払い戻し」という選択肢を覚えておきましょう。
③補償があるかどうか確認する
次に、飛行機のキャンセルに伴う諸費用で、航空会社が一部費用を負担する場合があります。
例えば、次の場合など。
- ミールクーポン(食事券)、飲料水、食べ物などの配布
- 交通費:地上移動が発生した場合の、交通費の精算など
- 宿泊費:宿泊が発生した場合
実はこういった費用がどこまで補償されるかは、言わば「ケース・バイ・ケース」、つまり時と場合によって、判断が変わってくる部分です。その都度スタッフに確認してください。
もし費用の補償がある場合、おおまかに分けて、2パターンあります。
- 金券利用:会社がチケットやクーポンを配布し、お客様は現金を使わない場合
- 事後精算:お客様が現金でいったん支払い、後で費用を清算する場合
1であれば、会社間で費用を清算してくれるので、事後精算はありません。手続きはその場で終了します。
一方、2の「その場で費用の精算を行わない場合」は、いわゆる事後精算です。スタッフに次のようなポイントを確認しておきましょう。
- 請求の手順
- 金額の上限があれば聞いておく
- 予約センターなどの連絡先
- 請求に必要な書類(レシートなど)
- 払い戻しにかかる期間、など
こちらの情報も、コミュニケーションの齟齬を防ぐため、できれば「紙や書面で」もらっておくようにします。
日本人が注意したい点
ここで、元・空港スタッフからの注意点があります。
日本人のお客様に散見されるのが、次のような事象。
- 海外で、現地スタッフの英語での説明や指示を「OK、OK」と受け取り、自分で確認せずに了承してしまう
- よく見たら都合が悪い事に気づいたが、英語でクレームすることなく、我慢してしまう
- 日本に帰国後、日本人スタッフにすべての不具合と怒りをぶつける
現地では、そのまま流れに身を任せてしまい、言葉の問題もありクレームしない人が多いようです。全部終わって日本に帰ってきてから、日本人スタッフにため込んだものを全部ぶつける、といったもの。
これ、日本人のお客様にほんとに多いのです。
係員としては、日本に帰国後にご立腹でクレームされても、すでに終わった事象については、対応できない場合も多々あります。そう、日本に帰ってきた時には、「時すでに遅し」です。ご注意くださいね。
日本人のお客様によく見られる例
具体的に見てみると、例えばこんなケースです。
- 自分の予約していた飛行機が海外空港で欠航になり、振り替え便を用意してもらう
- 新しい便だと自分のスケジュールが合わなくて調整が必要になったが、現地では何も申し出なかった
- そのまま振り替え便に搭乗した
- 日本に帰国後、「お前らのせいで俺は大変だった、どうしてくれるんだ」とご立腹される
このように、海外でのトラブルを現地で対応せず、帰国後にご立腹でお話いただくことが割とよくあります。もちろん大変な思いをされたのは伝わりますが、「今となってはどうにもできない」ことも多いんですよね。
特にフライトを「商品」として考えた場合、飛行機は「生もの」です。返品交換ができません。一度飛行機が出発してしまうと、その商品はもう二度と販売できないのです。
ましてや、お客様がそのフライトに乗ってしまったら、状況に合意されたとみなされます。フライトは「生もの」である以上、後になって「飛行機を乗り直し」なんてことも不可能ですよね。
現地の対応に問題があれば、言葉が多少つたなくても、その場でクレームするのが一番です。
欠航について話す時の英単語
海外でこうしたキャンセルの対応について話す場合、英語でのコミュニケーションになります。
ここで、欠航対応でよく使う単語をリストにしておきます。
- 振り替え:transfer(トランスファー)
- 予約変更:rebook(リブック)
- 払い戻し:refund(リファンド)
- 補償:compensation(コンペンセーション)
- 宿泊費用:accommodation fee(アコモデーション・フィー)
- 交通費:transportation fee(トランスポーテーション・フィー)
- 食事券:meal voucher/coupon(ミール・バウチャー/クーポン)
海外で飛行機が欠航になった場合、主にこれらの単語を使うと通じやすいです。最低限、この辺りの単語は頭に入れておくと便利です。
ご参考まで。
体験談:インド・デリー空港で飛行機が欠航した結果
さて、かく言う筆者も、インド・デリー空港で予約した飛行機がキャンセルになったことがあります。
旅行大好きで、海外にたくさん行ってますが、プライベートで飛行機がキャンセルになったのは、この時だけ。「ついに…、仕事以外で欠航にあたった!」という、胸アツな気持ちになったのを覚えています。
でも実際にあたってみると、仕事で欠航の対応を長年やっていた人間でも、「インドの空港でキャンセルになった経験」というのは、けっこうハードでした。
いやー正直言って、もう二度とごめんです。笑
読者の方のご参考までに、ポイントとなる部分を書いておきます。
①知らされなかった計画欠航
予約していた飛行機は、エア・インディア様の「デリー~アウランガバード」という国内線。当時、週に2~3便飛んでいた定期便です。
国内線区間ではあるものの、インドの空港のセキュリティの厳しさを考慮して、少し早めの3時間前に空港に行きました。(スタッフの鏡じゃないですか?)
するとチェックインカウンターのインド人スタッフに、「この便はキャンセルだ。飛ぶのは明日。メール送っただろ!?」と言われてしまいます。
- スタッフ「予約数が少ないから明日の便と統合した。今日はキャンセルだ。メール送ったのに、なぜ知らないのか?」
- 筆者「私には届いてません。いつ送ったんですか?」
このように、予約数が少ないから計画欠航したということを、当日告げられました。いわゆる「営業上の理由」というやつです。
②この時の振り替え状況
この時のキャンセルは、次のような状況でした。
- 区間:デリー~アウランガバード(国内線)
- キャンセル理由:営業上の理由(予約数が少ないため)
- 振り替え便:翌日の同じ時間(24時間後)
- 航空会社からの事前連絡:なし
- ホテル代:自己負担
- 交通費:300ルピーだけ会社負担(空港~市内の片道分)、事前連絡が無かったことを追求したら、しぶしぶ出してくれた
結局、デリー発アウランガバード行きは、24時間後の最先便に振り替えられました。つまり、翌日です。
これにかかるホテル代は、すべて自己負担でした。
現地(アウランガバード)で手配してあったホテルは、やむなくキャンセル。ホテルに電話をかけて「今日は飛行機が飛ばないから、明日行きます」と言ってみたところ、「OK」と快く予約変更してくれました。ホテル側も、欠航には慣れてるのかもしれません。
「ああ、一日無駄にしちゃったな」と思いながら、デリーに行って宿探しをした記憶があります。
③交通費を勝ち取った話
筆者はこのキャンセルに、ちょっと納得できない部分がありました。
というのは、計画欠航にもかかわらず、連絡がなかったからです。チェックインカウンターのインド人職員と、そのことについて英語で話し合います。
- 筆者「事前に欠航が分かってるなら、普通は連絡しますよね?連絡が無かったから、空港まで来ちゃったんですけど」
- スタッフ「だからメールしただろ!」
- 筆者「何も届いてません、何時何分に送りましたか?」等
するとついに、「今日のタクシー代だけ出してやる」とスタッフがしぶしぶ言ってくれたのです。空港から市内へのタクシー代として、「300ルピー」支払ってもらうことになりました。
その支払い手続きで、スタッフは何やら上司と相談しています。
上司との相談後、筆者の所に戻ってきて、なんと「60ルピーしか出せない」と言い始めたのです。
- スタッフ「空港からタクシーではなくメトロに乗れ。料金は60ルピーだ!」
- 筆者「え!さっき、タクシー代300ルピーを出すって言いましたよね?」
- スタッフ「だめだ、60ルピーだ!」
どうやら、上司から「タクシー代は高いから、値切ってメトロにさせろ」と言われたようです。それにしても、「300ルピー → 60ルピー」って、まさかの5分の1なんですけど…。
か弱い女性一人旅だったからでしょうか、足元を見られてしまったようです。
④交渉のポイントとは
ただ、筆者も仕事で毎日のように外国人に揉まれていて、こういうのは慣れっこです。逆の立場ですが、「一度提示された値段を変更されても、絶対に了承しない」という英語圏のお客様を、さんざん対応してきました。
そう、こういう時は、絶対に妥協してはならないのです。外国人になり切って、ネゴシエーターとして振る舞うのが得策。となると、言うべきことはただ一つです。
- 「あなたはさっき300ルピー出すと言った。私はそれ以外は納得できません。」
経験上、外国人のお客様は一旦提示された金額が変わった場合、絶対に了承しない人が多いです。毅然とした態度で「お前の言ってることはおかしい、話が違う、だから俺はお前に同意しない」を繰り返します。中には、その調子で何時間でも粘るお客様もいました。
筆者は田舎者の日本人ですが、こういう時は外国人になりきって、「金額が違う、納得できない」と言い続けました。するとスタッフは折れて、しぶしぶ300ルピー支払ってくれることに。
といっても、「ほーらよ!」みたいな感じで、投げるように支払ってくれたんですけどね…。
交渉のポイントとしては、以下の通りです。
- お金の話をするときは、慎重かつはっきりと
- 特に、一度提示された金額が変わったら要注意
- 相手が脅してきても「絶対に妥協しない」という強い心を持つ
相手もプロなので、こちらの出方を見ながら金額を調整してきます。特に日本人や女性となると、「こちらが強く出れば、言うことを聞くだろう」と、足元を見られることもよくあります。
それを踏まえて、絶対に妥協しないという強い気持ちを持ってください。
まとめ
以上、海外の空港で飛行機が欠航になったときの対応のポイントを、次のようにご紹介させていただきました。
- 便の振り替え、航空券の払い戻し、補償確認のポイント
- スタッフ目線で見た、日本人が注意したい点
- 体験談:インド・デリー空港で飛行機が欠航した結果
海外では、「何も言わない」人は「満足している人」と見なされます。もし、対応が納得できないなら、ため込まずにその場で申し出るのがポイントです。
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