アルゼンチンに旅行に来たら、やはり一度は本場のタンゴを見てみたいですよね。でもどこに見に行けばいいのか、何が一番お勧めなのか、なかなか分からない方もいらっしゃるのではないでしょうか?
筆者が実際にアルゼンチンに行った体験を元に、タンゴについて調べてみました。今回は本場ブエノスアイレスでタンゴを楽しむ秘訣を、3つのポイントでご紹介します!
これを読めば、タンゴの音楽に興味がある方、一度体験してみたい方、心に残る異文化体験がしたい方は、ブエノスアイレスで素敵な体験ができちゃいます!
ブエノスアイレスで生まれ育ったタンゴ
タンゴが誕生したのは19世紀後半、ブエノスアイレスの港町ボカが発祥の地と言われています。
ヨーロッパからの船が停泊する港に、海を渡ってアルゼンチンにやってきた移民たちや労働者の間でタンゴは生まれ、独自のリズムとステップに変化していきました。
そんな背景も踏まえつつ、ブエノスアイレスでのタンゴの楽しみ方を3点、ご紹介します。
街中のストリートライブで見る
アルゼンチンで本場のタンゴを体験する最も簡単な方法、それは通りでやっているライブを見に行くことです。
ブエノスアイレスの街中では、しょっちゅうライブ演奏を目にすることができます。筆者がストリートタンゴに遭遇したのは以下のエリアでした。
- ボカ地区
- サン・テルモ地区のドレーゴ広場
- サン・ニコラス地区のフロリダ通り
平日の午後と、日曜の午後に、それぞれの場所を観光しました。
有名な観光地だけあって、地元の人や観光客で賑わっており、人通りは多かったです。特にタンゴやギターなどのライブが始まると、通りに人だかりができていることも。
ストリートライブなら誰でも見ることができるので、節約派の人や、タンゴって何ぞやという人は、まず街角タンゴを楽しんでみてはいかがでしょうか。
ギターやバンドネオンの演奏をバックに、スーツとロングスカートのダンサーが踊っていたり、観光客が飛び入りで参加する場合もあるようです。老若男女、プロも初心者も問わず「とにかく皆でタンゴを楽しもう」という雰囲気。
ライブが気に入ったら、楽しい時間のお礼に、ミュージシャンやダンサーにチップを差し上げるとスマートですね。
日本でよく見るストリートミュージシャンと同じで、チップを入れる箱などが前に置いてあることが多いです。金額は人それぞれ、無理のない範囲で大丈夫。誰かがチップを入れてくれると、ダンサーも嬉しそうにしていたのが印象的です。
また、ブエノスアイレス市内のレストランやカフェの店内で食事をしていたら、いきなり予期せぬライブが始まったことも。何曲かタンゴを踊った後で、チップのために各テーブルを回ってくるので、心の準備を。
筆者の場合は、手持ちのコインで大きめのものを渡しました。テーブルによっては全くあげていない人もいたので、チップを受け取ると、ダンサーはニコニコしてました。他の人がいくらあげているかは分かりませんが、気持ちを伝えられる金額でOKと思います。
さすが本場だけあって、タンゴは身近な存在。ストリートライブといえどクオリティが高い演奏もあり、プロのアーティストがたくさんいるんだなと思って見てました。
タンゴのショーを観る
ストリートライブで興味が出てきたら、タンゴのショーはいかがでしょうか。ブエノスアイレスでは毎晩、地元の人や観光客向けのショーが開催されています。
ブエノスアイレスでタンゴが見れるお店
- Tango Porteño(タンゴ・ポルテーニョ)
- El Querandi tango(エル・ケランディ・タンゴ)
- Piazzolla Tango(ピアソーラ・タンゴ)
- Cafe de Los Angelitos(カフェ・デ・ロス・アンヘリートス)
プロによるタンゴのショーが楽しめるお店は、スペイン語で「タンゲリア (Tangeria)」と呼びます。お店によってはお食事やワンドリンク付のチケットもあります。
筆者は「タンゴ・ポルテーニョ」に行ってみました。理由は、泊まっていた宿から近かったからです。笑
値段はお店によって違いますが、筆者が行った時はショーだけで1万円弱でした。後で聞いた話では、旅行会社が出しているショー&食事&送迎付きプランで、1万円ぐらいの価格帯のものがあったそうです。
タンゴ・ショーの模様
ショーの醍醐味は、何と言っても楽器の生演奏付きでタンゴを楽しめること。
筆者が見たタンゴ・ショーの演奏チームは、バンドネオン、バイオリン、ピアノ、ベースなどでした。特に印象的だったのは、演奏中もずっと笑顔で演奏者同士アイコンタクトを取り、とにかく楽しそうにセッションしている所。
画像は演奏チームの皆さん。真ん中のバイオリン奏者の女性がコンサートマスターと思われます。全身スパンコールのキラキラした衣装で、ライトを一身に浴びてました。
彼女の存在感は、美しさだけではありません。演奏中も笑顔でチーム一人一人に目を配り、演奏全体を完璧にマネジメントしていました。
例えば、日本のクラシックのコンサートでは、演奏者は指揮者を見て演奏します。
でもタンゴのショーでは指揮者がいないため、お互いのアイコンタクトで息を合わせる必要があるのかなと思いました。雰囲気的には、クラシックのコンサートよりは比較的カジュアルで、楽しいですよ。
画像はショーの一幕で、「ポル・ウナ・カベーサ(Por una cabeza)」という有名な曲の独唱シーン。
曲の内容は、「男性が、好きな女性を取られてしまった」という悲哀を、明るい感じで歌う内容です。
劇中では、バーの中で男性がこの歌を独唱しているという舞台設定でした。画像の一番右端、スーツの男性歌手が、各テーブルの女性ダンサーの手を一人一人取りながら、熱唱して回る、というラテンな展開でした。
ラテンアメリカのアートに共通する魅力は、こういった「明るさと暗さの同居」じゃないかな、と筆者は思ってます。
上の画像も、ショーの一幕。
舞台に6つの小部屋が設置され、その中でタンゴが披露されるという現代的な演出です。舞台演出の中では、筆者はこれが一番気に入りました。
このように凝った演出のプログラムや、華麗なダンスが次々と披露され、歌手の独唱もあり、予備知識が無くても楽しめる内容です。
が、当然のことながら、自分の知っている曲が流れるのと流れないのとでは、盛り上がり方が断然違います!タンゲリアとしても観光客相手に有名どころを演奏してくれているので、1曲で良いので、タンゴの曲を聞いてから行くことをお勧めします。
有名なタンゴの曲で、ショーでも演奏されたのは、以下でした。
- Por una cabeza(ポル・ウナ・カベサ)
- La Cumparsita(ラ・クンパルシータ)
- Libertango(リベルタンゴ)
有名な曲が流れると、周りの観客も拍手で迎えたり、わーっという歓声が聞こえることも。ちなみに「ポル・ウナ・カベサ」は、映画『セント・オブ・ウーマン』で劇中のダンスシーンに登場した、ドラマチックな曲ですよ!
注意したいこと
一つ頭に入れておきたいのは、ショーの時間帯が夜遅いことです。開始22時、終了24時以降、なんてスケジュールも珍しくないですので、交通手段を考えておきましょう。
お店によっては利用客が帰る時にタクシーを手配してくれたり、送迎付きのショーを企画している所もあるようです。道中が心配な方は、こういったサービスを利用してみてはいかがでしょうか。
ちなみに筆者は、タクシー待ちの列が長かったのと、宿まで走って10分位の距離だったので、ブエノスアイレスの真ん中から、走って帰ることにしました。
夜24時過ぎだったので、人通りは全くと言っていいほどありませんでしたが、建物と建物の間の暗がりに入った途端、地元のお兄やんが「イエーイ!!」と言いながら一人で走って目の前に近づいて来ました。
ちょっとびっくりしたものの、「キッ」と睨みつけたら、2,3歩あとずさりして帰って行きました。。
こんなこともあるので、特に女性の方は、送迎の手配をお勧めします!
タンゴに挑戦してみる
プロによる最高なタンゴ鑑賞をしたら、やはり実際に習ってみたくなってきますよね。
筆者はタンゴはおろかダンス舞踏系のセンスが皆無。でもレッスンを受けてみたら、意外と初心者でも楽しめました。アルゼンチンに行かれたら、一度体験してみてはいかがでしょうか。
ブエノスアイレスでタンゴ教室を開催しているお店
- Confiteria Ideal(コンフィテリア・イデアル)
- Salón Canning(サロン・カニング)
- Escuela Mariposita(エスクエラ・マリポシータ)
- La Catedral Club(ラ・カテドラル・クルブ)
- DNI Tango(DNIタンゴ)
- Palermo Tango Studio(パレルモ・タンゴ・ストゥディオ)
筆者は宿の近所にあった「コンフィテリア・イデアル」に行ってみました。
理由はレッスン数が多く、予定が合いやすかったです。料金は日本円で1500円ぐらい、市内の中心部セントロからも近く、アクセス良好でした。
レッスンを受ける時は、服装も靴も普段着でOKですが、動きやすい服装をお勧めします。
初心者向けレッスンの模様
まず基本となる8個のステップを、アルゼンチン人の先生に教えてもらいます。
下の画像のような「1.2.3.4.5.6.7.8」という足の動きを、何回も練習します。
タンゴは見ているだけでも超人的な動きです。「なんであの高いヒールで、あの素早い動きができるのか?」と不思議に思ってました。
実際やってみると、足のステップに気を取られ、「間違えずにステップを踏むこと」に集中してしまい、なかなかリズムに乗るのが難しかったです。
先生によると、本当はもっといっぱいステップがあるらしいですが、筆者は1個が限界でした!基本のステップを何回も練習し、ペアになって合わせます。
先生は二人。
メインの先生は、アルゼンチン人の男性フェルナンド(30代ぐらい)と、助手のアルゼンチン人の女性のマルタ(60代ぐらい)です。最初は、マルタに付きっきりでステップを教えてもらいました。
レッスンの参加者は、フランス人夫婦、イギリス人男性、そして筆者の4名。レッスン中は必然的にイギリス人男性とペアになりました。彼はタンゴ経験数年とのことで、主に筆者に合わせてくれていました。
言語について、先生たちは英語は簡単な会話なら通じますが、情報量が違うので、できればスペイン語が理解できた方が便利です。
筆者は日常会話程度ならスペイン語が分かるので、先生は分かりやすい言葉でゆっくり話してくれます。クラスメイト同士は、共通の言語として、主に英語で話していました。
当初とにかく「ステップを間違えずに順番通り踏まなきゃ」「イギリス人の足は踏んではならない」と思って頭で考えながら踊っていた所、先生にこうアドバイスされました。
マルタ「タンゴでは主導権を取るのは男性。普段は女性がリードしていても、タンゴだけは違うのよ。」
フェルナンド「タンゴは人生と一緒で楽しむもの、ステップを間違えたって構わない。make mistakes!!(どんどん間違えなさい)」
なるほど、これがタンゴ哲学ですね。。特にマルタの言葉は、ユーモアがありアルゼンチンらしくてとても好きです。
また、「ステップの他に重要なのはBrazos(ブラソス/腕)」とも教わりました。
相手の呼吸に合わせるために、腕に力を入れすぎず、そして離れてはならない!という難しい指示ですが、ペアになったイギリス人のクラスメイトは「君のBrazos、いいね!」とほめてくれました。気持ちは伝わったようである。。
そしてレッスンの後は、クラスメイトとカフェでおしゃべりしました。
タンゴの話から始まって、普段の仕事の話や、恋愛の話など、とても楽しかったです。現地の文化を体験してみると、意外と相手との距離がぐっと縮まるきっかけになるかもしれません。
ミロンガで踊ってみる
タンゴの基礎が分かったら、実践経験を積むことのできる場所に行ってみるのも楽しいかもしれません。
Milonga(ミロンガ) は「タンゴを踊る場所」という意味。前の項目で触れたような、初心者向けにレッスンを開催しているお店が、時間帯を分けてミロンガとして営業していることも多いようです。
ミロンガは社交の場であり、実践の場。全然知らない人とも、タンゴを踊ることがありますよ。
実際にミロンガに行った人の話によると、女性は初心者でも男性がリードしてくれるので結構大丈夫だそうですが、男性の場合なかなかそうはいかないようです。特に男性の方は、よく練習してからミロンガに行ってみてください。笑
まとめ
以上、アルゼンチンに行ったら是非楽しんでみたいタンゴについて、「街中のストリートライブ、タンゴのショー、そしてレッスンを受けてみる」という3つのポイントをご紹介しました。
タンゴは年齢・国籍・性別も関係なく初心者でも楽しむことができ、踊った後は気分もスッキリ、更にお友達もできるという良い経験でした。
なお、レッスンの後の糖分補給にお勧めなのが、ブエノスアイレスにある「Cafe Tortoni」というお店。
「Churros con chocolate(チュロス・コン・チョコラテ/チュロスとホットチョコレート)」など、一度は食べてみたい地元のスイーツです。ブエノスアイレスに行ったら、是非トライしてみてください!
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