メキシコって、皆さんどんなイメージをお持ちですか?「治安が悪いのでは」と心配する声が時々あるようですが、しっかり気を付けていれば大丈夫。むしろ、メキシコ人が親切でとても旅行しやすいというのが実感です。
「でもどんな所がおすすめなのか分からない!」という方に、今回は、メキシコの南にあるオアハカの観光スポットと、近郊の遺跡モンテ・アルバンをご紹介します。
歴史的な建物が残るオアハカと、中央アメリカ最古の遺跡モンテ・アルバンは、ともに1979年に世界文化遺産に登録されています。
そしてこれを書いているのは、無類のメキシコ好きの筆者。スペイン語話者なので、現地の情報も通訳いらずで取り込めます。実体験と現地情報を織り込みつつ、オアハカとモンテ・アルバンの見どころをご紹介します。
これを読めば、「メキシコシティからオアハカへの行き方、オアハカ市内のおすすめスポット、モンテ・アルバン遺跡、そして気になるオアハカの治安」について、分かっちゃいます!
早速読んでみましょう。
行き方:メキシコシティ~オアハカのバス
首都メキシコシティからオアハカまでは、バスで約7時間です。筆者は、バスターミナルでチケットを売っていたADO(アデオ)というバス会社を利用しました。
運賃は440ペソぐらい。
メキシコシティ~オアハカ間は、ADOの他にもAU、OCCなどのバスが運行しています。本数が多く、1時間に1本ぐらい出ていて便利。後で知ったのですが、ADOが一番快適な一等バスだったそうです。
オアハカ市内の見どころ
オアハカに到着し、まずは市内を歩いて観光します。
季節は四月でしたが、ほとんど夏みたいな気温。下の画像に映っているような、ノースリーブの人も珍しくありませんでした。
なお、この時の筆者の服装は、毎日半袖Tシャツ&短パンという軽装。体感としては、日本でいう7~8月ぐらいの気温でした。一言でいうと「暑い」です!

上の画像は、オアハカで最も有名なサント・ドミンゴ教会です。バロック建築のこの教会が建てられたのは、1551年にさかのぼります。

サント・ドミンゴ教会の中に入ってみます。内部の装飾は、上の画像のような感じで、びっくりするほど豪華で見事。この教会の建築には約一世紀かかり、戦時中には軍事倉庫としても使用されたそうです。
よくぞ、この姿を今にとどめてくれましたよね!

上記は天井をズームで撮った画像です。教会内では文化遺産保護のため、フラッシュ撮影が禁止。金箔の装飾が施され、豪華絢爛です。ところどころ、水色が入っているのが素敵なアクセントですね。
中央アメリカ最古の遺跡「モンテ・アルバン」
市内を観光した後は、遺跡を見に行ってみました。中央アメリカ最古の遺跡と言われるモンテ・アルバンは、オアハカの西8㎞ぐらいに位置しています。
モンテ・アルバンは紀元前500年に設立され、紀元後800年頃までサポテカ文明の首都として機能していました。最盛期には2万人以上の人がここに住んでいたそう。
そしてこの遺跡は、標高1550mのオアハカ盆地にある高さ400mほどの丘の上にあることから、「天空の古代都市」とも呼ばれています。筆者は、この遺跡が見たくてオアハカまで来ました!

上の画像が、モンテ・アルバンの入り口です。オアハカはただでさえ暑いのに、そのうえ遺跡周辺はほとんど日陰がありません。帽子と飲み水、サングラスはお忘れなく!

上の画像は、「球戯場」という場所です。サッカーのようなボールゲームが、中で行われていた様子。右下の説明図に「H」の形をした絵があり、人間の姿が描かれています。これは、球戯場を上から見た図で、実際に上図のようなフォーメーションで球技をしたみたいです。
画像左手を見るとよく分かるのですが、石が加工され、綺麗な三角形に並べられています。この球戯場が紀元前500年に作られたなんて、当時の石を加工する技術力の高さ、すごいですよね!

画像は、踊る人(Los Danzantes)と呼ばれるレリーフです。中央に一列に並べられた石には、すべて人間の絵が書いてあります。「踊る人」は、300点以上が見つかっているそうですが、その目的や何を表しているのかは、謎に包まれています。
レリーフに描かれる人たちは皆、目を閉じ、口を開け、裸体で生気の無いぐったりとした表情をしていることから、死を象徴しているとされています。一説では、これは捕虜になり犠牲にされた可能性のある人たちの姿で、戦争で捉えられた部族のリーダーの姿だとされています。

上の画像は、右の2枚のレリーフを拡大したもの。よく見ると、二人とも髭が生えています。先住民は髭を生やしていなかったことから、これは外国人か、架空の人物だとされています。
また、300点のレリーフの中には妊娠した女性も描かれていて、その胎児が高貴な人の付ける装飾品を付けていることから、「踊る人」は戦争の戦利品ではなく、伝染病の流行で亡くなった人たちの姿ではないか?という説もあるそうです。
疫病や伝染病は、外国から持ち込まれることも珍しくありません。
- もしかして、ここに描かれた髭の生えた外国人が、伝染病を持ち込んだのか?
- あるいは、伝染病で亡くなった部族の姿を描いたのが300点のレリーフなのか?
- 8世紀以降、モンテ・アルバンが廃墟になったのは、伝染病が原因?
など、「踊る人」のレリーフから色々想像できて、これだけでも興味は尽きないですね!
メキシコには「死者の日」という先住民の大切なお祭りがあり、死者は永遠に生き続けると考えられています。「踊る人」の謎が解けることはないかもしれませんが、彼らにとって死者の姿を描くことの意味は、非常に大きいのではと思います。

上の画像の右手にある、遺跡内の中央の建物が「天文台」です。モンテ・アルバンは街全体が天文台だという説もあり、彗星の通過、日食、春分、夏至などを予測していたと言われています。
メキシコにいると実感するのは、「雨が貴重」ということ。とにかく日が照っているので、旅行していても、雨を待ち望む気持ちになっちゃいます。きっと当時の人も、季節の変化や降雨を予測することで、農業に活かしていたんですね。
この太陽の照り付ける土地で、もし雨を予測できる技術があれば、人々は「神様なの!?」と思ってしまうのではないでしょうか。モンテ・アルバンが、最盛期は人口2万人以上にもなったという理由が、ここからも想像できます。

なお、上の画像が遺跡内での数少ない木陰でした。暑いよ!笑

上の画像を見ると、モンテ・アルバンが山の上の開放された場所に作られていることが分かります。敵から身を守る要塞というよりは、空の天体を読むための神聖な場所だったのかも。
遺跡全体は1-2時間でまわれますが、古代の謎を考えながら見ると、見ごたえ十分です。
<アクセス情報>
Zona Arqueológica de Monte Albán
入場料:80ペソ(2020年現在)
営業時間:8時-17時(年中無休)
住所:Ignacio Bernal S/N, San Pedro Ixtlahuaca, Oax., México
オアハカ市内~モンテ・アルバンはバスで約30分。
市内のホテル「Rivera del Angel」から、30分~1時間に1本ぐらいバスが出ています。(予約しなくても、ホテルに行って待っていれば乗れた)
現地の雰囲気と治安

州都オアハカは、上の画像のようにカラフルな建物がたくさんあり、何よりも現地の人たちがとても気さくで人懐っこいのが印象的でした。
例えばその辺を歩いていたら、子供たちに「ブエノスディアス!(こんにちは)」と挨拶され、こちらも笑顔で「ブエノスディアス!!」と答えたり、通りすがりのおじいちゃんにスペイン語で「ブエンディーア(やあ)、今日は暑いね」と話しかけられたり。
地元の人は明るくて優しい
ある日、ソカロという中心地付近をお散歩していたら、後ろから「おーい!おーい!!」とメキシコ人のおばちゃんが言いながら駆け寄ってきました。全然知らない人なので、えっ私?と思って振り返ります。
おばちゃんは追いついて来て、こう言いました。「あなた日本人でしょ、大きな地震があったって聞いたんだけど、大丈夫なの?お家は?家族は!?」
その当時、東日本大震災の直後だったこともあり、メキシコでも大きなニュースになっていて、心配してくれたようです。
幸いにも筆者の家族や友人に大きな被害は無かったので、「ありがとう、家族も家も大丈夫だよ!」とスペイン語で答えました。
メキシコ人のおばちゃんは、「まー良かったわ!ニュースでやってたから心配になっちゃって。ところで私の名前はマリア、よろしくね」と言って握手して、しばらく二人で立ち話をしていました。
メキシコ人て明るくて親切ですよね。
マリアさんがなぜ筆者を日本人だと分かったのかは、聞きそびれました!いつもなら、まず日本人に見られないので、何で分かったのでしょうか。。(ちなみに今まで間違えられたことがある国は、中国、香港、韓国、ネパール、キルギスなど)
治安は?
オアハカはこんな感じで、毎日のように地元の皆さんと気さくにおしゃべりができる、素敵な町。治安が悪いと感じたことは一度もありませんでした。
地元の人たちは、明るくて気さく。
筆者が道を歩いているだけで、大人も子供も「ブエン・ディーア!(こんにちは)」と声をかけてくれたり、地図を持って歩いていると、わざわざ立ち止まって「何か探してる?」と聞いてくれたり。
またオアハカでは、大都市(メキシコシティなど)で見るような貧富の差を感じたことや、物乞いを目にすることはありませんでした。
ただ英語はあまり通じないので、スペイン語が少し分かると便利かもしれません!
バスの中でも楽しい
オアハカからメキシコシティに帰るバスの中で、隣にメキシコ人のおばあちゃんが座りました。何やら携帯電話を持っていて、家族とメッセージを交換している様子。
おばあちゃんすごいなと思っていたら、しばらくして、携帯電話(スマホではない)を筆者にスッと差し出してきました。
おばあちゃん「ロックしちゃった」(´・ω・`)
筆者「ええええええ」( ゚Д゚)
どうやら、携帯電話がロックしちゃったようで、直し方が分からないので、筆者に「直せ」と言っている模様。
おばあちゃんから携帯を渡されて、思わず受け取ってしまったものの、自分でも初めて見たメキシコ仕様の携帯電話です。
果たして、これを初見で操作することができるのでしょうか?ちょっぴり不安に。
でも隣のおばあちゃんは、ロックしちゃった。。(´・ω・`)と、しょぼーんな感じの顔をしてます。
「これは助けねば。。」と思い、やってみることにしました。スペイン語のエラーメッセージを読み、色々適当に押してみたり、画面をスライドしたり、色々と格闘していたら、パッと画面が切り替わりました!
はあ、はあ、良かった、無事にロック解除できたようで(T-T)
「解除できたよ!」と返却すると、おばあちゃんも喜んでいました!
オアハカからメキシコシティへのバスは、首都近辺の夕方の大渋滞で1時間以上遅延して着きましたが、こんな感じで隣のおばあちゃんが可愛いので、全く退屈しませんでした。
まとめ
以上、オアハカ市内のおすすめ観光スポットと、モンテ・アルバン遺跡、そして現地のメキシコ人の雰囲気について書かせていただきました。
どうですか、明るくて気さくなメキシコ人が、だんだん好きになってきませんか?でもメキシコの魅力についてはまだ10分の1ぐらいしか語っていませんので、まだ今後も語らせていただきます!

ところでオアハカを歩いていたら、パン屋さん「ビンボ」のトラックを発見!
筆者はこの白熊が好きで、スペイン語圏に行くといつも探しちゃいます。調べてみたら、「ビンボ」はメキシコの食品会社で、パンの売り上げは世界一だそう。こんなところにもいるなんて、働き者の熊だな。
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