メキシコのオアハカで現地ツアーに参加してみた:ミトラ遺跡、イエルベ・エル・アグア | mikolog

メキシコのオアハカで現地ツアーに参加してみた:ミトラ遺跡、イエルベ・エル・アグア

ラテンアメリカの旅

メキシコは観光スポットがたくさんあるのですが、まだまだ意外と知られていなかったりします。中でもおすすめは、オアハカ近郊の遺跡「ミトラ」、そしてインスタ映え間違いなしの「イエルベ・エル・アグア」。

オアハカに行ったら、絶対に行ってみたいのがこの2つ。でも、ミトラ遺跡って死者の場所とも言われてて、何があるの?とか、イエルベ・エル・アグアはこの世の果てみたいな画像だけど、どうやって行くの?など、色々疑問だらけですよね。

何とこの2か所は、オアハカから日帰りツアーが出ていて、一日で全部行けちゃうのです。無類のメキシコ好きの筆者は、そのオアハカ発のツアーに参加して、ミトラ遺跡とイエルベ・エル・アグアなどに行ってきました。

この記事を読めば、オアハカ発のツアー内容と、ミトラが「死者の場所」と呼ばれる理由、そしてオアハカ近郊のイエルベ・エル・アグアについて分かっちゃいます!

早速読んでみましょう。

日帰りツアーに参加

ということでメキシコの南部オアハカに滞在中、日帰りツアーに参加してみました。内容は次のように盛りだくさん。丸一日かけて、これらをまわります。

  • エル・トゥーレ(アメリカ大陸最大の木)
  • テオティトラン・デル・バジェ(毛織物の工房)
  • メスカル工場(現地のお酒、いわゆるテキーラ)
  • ミトラ遺跡
  • イエルベ・エル・アグア(インスタ映えスポット)

全部で5か所ですが、筆者の目当ては「ミトラ」と「イエルベ・エル・アグア」!この記事でも、この2つをメインに書いていきます。

ツアー料金は、300ペソぐらいだったと思います。(遺跡などの入場料は別途自分で支払う)オアハカ市内の旅行会社に貼ってある張り紙をみて、その場で申し込みました。

当初、オアハカで2つの遺跡「モンテ・アルバン」と「ミトラ」を見るつもりでした。そのうちの1つがこのツアーに含まれていて、一日でオアハカ近郊の見どころに連れていってくれるプログラムだったので、良いかも!と思って参加してみることに。

ツアーで一日一緒だったのは、メキシコシティから遊びに来たメキシコ人家族連れ3人、そして現地のガイドさん、ドライバーさんです。

なお、オアハカのモンテ・アルバンとオアハカ市内の見どころについては、リンク先の記事でご紹介していますので、こちらもご参照いただけると嬉しいです!

エル・トゥーレ

エル・トゥーレ

サンタ・マリア・デル・トゥーレという小さい町に到着し、画像のような大きな木の所にやってきました。右下に写っているのが、ツアーで一緒だったメキシコ人家族。娘二人を連れたお父さんです。

この木はサンタ・マリア・デ・ラ・アスンシオンという教会の敷地内にあります。ツアーではここで少し時間を取り、撮影タイムに。でも木が大きすぎて、どうやってもカメラに入らない!笑

トゥーレの木については、以下のことが分かっています。

  • 高さ:40m
  • 幹の円周:42m
  • 重量:約509トン
  • 木の陰に入ることができる人数:500人以上
  • 人間が手をつないで幹の周りを囲むことができる人数:30人以上

(出典:oaxaca life

高さ40m、円周42mもあるトゥーレは、「アメリカ大陸最大の木」と言われています。樹齢は2000年以上(諸説あり)。幹が複数にも見えることから、当初は複数の木と考えられていたところ、DNA検査をした結果、1本の木だと証明されたんですって。

サンタ・マリア・デ・ラ・アスンシオン教会

近くにあるサンタ・マリア・デ・ラ・アスンシオン教会は、上の画像のような感じでした。小さな教会だけど、色がポップで、何だか可愛い。

ちなみに、この辺りでは、木を見る以外にすることは特に無かったです!筆者はお手洗いに行かせてもらった記憶が。

テオティトラン・デル・バジェ村(毛織物の工房)

染色の原料を見せてくれた

テオティトラン・デル・バジェという村の、毛織物の工房にも立ち寄ります。画像左手に見える、白いふわふわしたものが羊毛。

赤や黄色などの色は、植物などを原料に染色しているのだそう。

糸をつむぐ様子

このように、昔ながらの糸つむぎの機械を使って、丹念につむいでいきます。工房の女性が、実際に使い方を見せてくれました。

現地の方の繊細な手仕事で作られるんですね。こういうの好き。

伝統的な織り機

紡いだ糸は、画像のような伝統的な織り機を使って、製品にしていきます。工房の隣にお店もあり、実演と販売を行っていました。製品の質が良く、値段がお高めだったので、筆者は買っておらず(T-T)

ミトラ遺跡

さて、いよいよ筆者の中のメイン・イベント、ミトラにやってきました。

ミトラは、オアハカから46㎞東に位置する、サポテコ遺跡です。8世紀にモンテ・アルバンが放棄された後、ミトラはサポテコ文明の主要な政治的・宗教的中心地となりました。

ミトラで発見された最古の建造物は、モンテ・アルバンが最盛期だった西暦450年頃のものですが、ミトラの最盛期は800年以降と言われています。

ミトラ(Mitla)という言葉は古代ナワトル語起源で「死者の場所」を意味します。古代メキシコでは、人間は死ぬことで「永遠の命」を得る、そして死後も生き続けると考えられていました。その生者と死者のゲートウェイとなったのが、ミトラだと言われています。

5つの建築グループから成る

ミトラは、次の5つの建築グループで成っています。

  1. 北部・教会グループ(Church Group/North Group)
  2. 宮殿や柱のグループ(Palace Group/Columns Group)
  3. アドビグループ(Adobe Group)
  4. 小川グループ(Arroyo Group)
  5. 南部グループ(South Group)

このうち、今回のツアーで見ることができたのは、①北部・教会グループ、②宮殿や柱のグループ、の2つです。この2つの遺跡以外は、少し離れた場所にあるため、今回のツアーではカバーしていないようでした。

地図で見てみます。今回のツアーでまわった動線が、だいたい右側の南北の2地点を結んだもの。北部・教会グループと、宮殿や柱のグループと呼ばれる遺跡です。

左側の3地点が、行けなかった遺跡です。上からAアドビグループ、B小川グループ、C南部グループ。距離が若干離れているのが分かります。

筆者はツアーに申し込む時に、「ミトラ」が目的地に入っていることだけを確認し、遺跡が5つあることや、そのうち2つしか行かないことをよく理解していないまま参加してしまったのです。

旅行者によっては、ミトラの中で保存状態が良くてメジャーな「①北部・教会グループ、②宮殿や柱のグループ」だけ見て終了する人も多いよう。でも、もし仮にツアーで全部訪れないことを事前に知ってたら、個人で行ったかもしれないですね!笑

とはいえ、遺跡は見ごたえ十分でした。それでは教会・北部グループから見ていきます。

ミトラの上に建てられたキリスト教会

スペイン人征服者たちがやって来た時、ミトラはまだ宗教の中心地として機能していため、彼らはミトラの上からキリスト教の教会を建ててしまいます

サン・パブロ教会

上の画像が、その時に建てられたサン・パブロ教会。遺跡の北部にあり、北部グループ、または教会グループと呼ばれています。

この辺りに駐車場があって、お土産屋さんも並んでいました。ツアーではワゴン車を止めて、ここから歩いて遺跡まで行きます。道中、ガイドさんが遺跡やスペイン人征服者についてなど、スペイン語で色々話をしてくれます。

筆者は以前スペイン語を勉強していたので、旅行程度の会話はできるけど、込み入った話はよく分からないことも。メキシコ人のガイドさんは英語を少し話すものの、強烈なスペイン語アクセントの英語だったので、かえって理解に時間がかかり、結局スペイン語で話していました。(よくありますよね・・・)

駐車場から宮殿までは、だいたい100mぐらいで遠くはないです。ただ、問題は暑くて日差しが強いこと。帽子、サングラス、飲み水はお忘れなく!

ミトラ=埋葬場所

サポテコの民話によると、ミトラにある地下道には、冥界の主とその妻が住んでいると信じられていたそう。そのため当時の人たちにとって、地下は「死の世界の入り口」と考えられていた重要な場所でした。

サポテコ族はミトラを「埋葬場所(Lyobaa)」と呼び、地下に貴族たちを埋葬しました。ミトラに埋葬された貴族は「雲の民」となって下界の人々を守るとされました。実際にたくさんの地下墳墓が見つかっています。

そしてここに来たカトリック宣教師たちが、真っ暗な地下道で松明を持ち、腐敗と悪臭の中を恐る恐る進んだという話も残っているそう。

ミトラはサポテコ族にとって大変重要な宗教上の意味を持つことから、キリスト教徒はここに教会を建て、そのパワーを弱めようとしたと考えられています。つまり、キリスト教徒が、ここを解体して埋めざるを得ないほどの何かが、ミトラにはあったのです。

パティオを持つペセラオ宮殿

入り口から見た外観

教会のあった場所から少し南に歩いて、入り口にきました。上の画像が外観です。ミトラといえば、この繊細な幾何学模様で有名。

ぱっと見は、平べったくて四角い建物ですが、何があるのでしょうか。中に入ってみます!

雲の中の「ペセラオ宮殿」

上の画像は、宮殿グループの「ペセラオ宮殿(Palace of Pezelao)」と呼ばれ、ミトラに残っている中でも、比較的保存状態の良い建物。中央にパティオという中庭があり、それを取り囲んで部屋がある構造になっています。

この宮殿はキリスト教徒によって、修道院やキリスト教の神職者たちの居住区に変えられてしまいました。その結果、今私たちが目にしているような、壁や柱だけが残っている状態に。これでもまだ宮殿グループは、保存状態が良いのだそう。

画像の宮殿の下半分に塗られている赤い塗料は、「カルミン」と言われています。そして画像の左奥に、先ほど通ってきたサン・パブロ教会が見えます。手前に写っているのはガイドさん。そして雲が綺麗。

ペセラオ宮殿に上ってみる

ペセラオ宮殿の階段を上っていくと、上の画像のように、石の構造をじっくり見ることができます。

ミトラの幾何学模様は、遠くから見ると、セメントで固めてあるのかな?とも思えるほど精巧。でもこうやって近くで見てみると、セメントなどは使用されず、一つ一つが石の中に丁寧に彫られ、ジグソーパズルのようにはめ込まれていることが分かります。

そして、それぞれの石が完璧に組み立てられて、石の重さによってお互いが支えられています。

上の画像の柱の一部に、赤い塗料が残っているのが分かりますでしょうか。当時はもっと赤くてカラフルな宮殿だったのかも!

幾何学模様一つ一つに意味がある

「モザイクの中庭」

上の画像は、モザイクの中庭と呼ばれています。実はこれ、全部小さい石なんです!

小さくカットされた石が、パズルのようにはめ込まれた、精密な幾何学模様の壁。この壁の装飾を、現在の技術で再現したら、どれぐらいのコストなのでしょうか。コスト以前にめちゃくちゃ大変そうです。

更に9世紀当時にそれをやってのけ、建物全体に惜しまずに使っているこのミトラは、宗教上だけでなく、政治的にも重要な存在だったのは間違いありません。

そして、壁だけでもこんなに手間暇がかかっていることから、内部の装飾品や調度品はもっと豪華だったのではないでしょうか。この上から、キリスト教会を建てるって、当時のカトリック教徒はすごいことしますね・・・。

そういえばメキシコシティの国立宮殿周辺も、先住民の神殿の上からキリスト教会を建てたため、今も宮殿周辺には遺跡が埋没しているのだとか。

メキシコやラテンアメリカに来て、現地で歴史に触れるたびに、征服当時のスペインが許せない気分になっちゃいます。(いや、スペイン巡礼の道では、散々お世話になったんですけどね・・・笑)

壁に近づいてみる

これらの幾何学模様が表すシンボルは、実は一つ一つ意味があるのだと考えられています。

例えば雷の稲妻、風や雲、蛇や波などを表すものなどがあるのだとか。どれがどれに対応しているかまでは分かりませんが、ざっと見ただけでもたくさんの種類が!

上の画像の一番下の段は、石が盛り上がっている部分と、奥に凹んでいる部分が、規則的に並んでいます。これも何かの象徴だと思われますが、いったい何の意味があるのでしょうか?

種類が豊富!

上の画像は、また別の種類のモチーフ。こんなに綺麗な幾何学模様が、この世にあるなんて。

サポテコ族は、自分たちのことを「雲の民」と呼んでいたと言われています。そう言われてみると、雲っぽいモチーフもありますよね!

ガイドさんの話によるとこの幾何学模様は、当時の人たちの教えが象徴的に表されているのだそう。説明がスペイン語で、ちょっと難しかったのですが、このたくさんの幾何学模様は、「稲妻、風、雲」といった自然界の物質的な秩序とともに、人間の存在の「秩序」を表すのだとか。

人間の性質をコントロールしてバランスが保てていれば昇華できるが、それができないと愚かしいことになってしまうという意味でしょうか。考え出すとなかなか哲学的で、ますます謎に包まれています。

精神面と物質面のつながりを表している、とも考えられるミトラの幾何学模様。ここが生者と死者のゲートウェイだという意味も、何となく分かるような気がします。

単なる生贄の儀式の場というだけでなく、当時の先住民の建築と哲学の融合とも言えるのではないでしょうか。

<アクセス情報>
Zona Arqueológica de Mitla
Camino Nacional, Los Presidentes, Centro, 70430 San Pablo Villa de Mitla, Oax.
入場料:65ペソ
営業時間:8時―17時

イエルベ・エル・アグア

さて、ミトラを出た後、ワゴン車は山の中に入ります。ただでさえ山道でアップダウンが激しいのに、道が舗装されてません!車がジェットコースター並みにガクガク揺れるので、一緒に乗っていたメキシコ人たちが大はしゃぎでした。笑

車内で、日本人の印象について話題になりました。日本人は規律を守る人種だよね、とも。

メキシコでは、誰も規律を守らないから問題なんだよ・・・(´・ω・`)

とメキシコ人のお父さんが真剣に言うので、可笑しかったです。「でもメキシコ人はとても感じが良いと思うよ!」と言っておきました。

山の中に何かがある?

画像のように突如、山の中に緑色のものが見えてきます。何やら、人がたくさんいる様子。ここは、「イエルベ・エル・アグア」と呼ばれる天然の岩石群です。

イエルベ・エル・アグア(Hierve el agua)=水が沸騰する、という意味。そういえば、ラテンアメリカで「アグアスカリエンテス(お湯)」という名前がついてる町は、温泉が出たりしますよね。分かりやすい。

よく見ると、崖の上にある

さあ到着したので車を止めて、歩いて向かいます。横から見ると、白い岩棚が崖の上に立っているのが分かります。下の谷からの距離は、50-90mぐらいあるのだとか。

もう一つの岩棚を横から見る

このような岩棚が2つあるらしいです。上の画像が、もう一つの岩棚を横から見たもの。崖のすぐ下は、一部滝のようにも見えますね!

「イエルベ・エル・アグア」

さあ、イエルベだ!水の色がターコイズグリーンで、綺麗ですね。皆さん、インスタの準備はよろしいですか。笑

この土地は、炭酸カルシウムなど、ミネラル濃度が高い水が湧き出てくるため、こんな面白いプールができちゃうのだとか。この綺麗なターコイズグリーンになる理由も、ミネラル濃度の高さからきているそう。

画像は、一瞬人がいなくなった隙に撮りましたが、実際はメキシコ人家族連れであふれかえっており、下のように「わいわい」した雰囲気。

湯につかるメキシコ人

筆者は水着を持っていなかったので、足だけつけてみます。

水温は「ぬるま湯」といった感じで、思ったより温かくてびっくり。だいたい22-27℃ぐらいだそう。

地元のメキシコ人が、家族連れで遊びに来ています。皆さん水着を着て入ったり、半ズボンで足だけつけている人も。着替える所は近くにあるとガイドさんが言っていましたが、小さい子供たちは近くの岩陰で着替えていました。

岩棚が広がる

プールになっている岩棚以外にも、画像のような白い岩が広がっています。足元が滑りやすいので、ご注意を!

湧き上がる様子

よく見ると、水が湧き上がる所は、画像のように泡が立っていました。本当に不思議です。

実は、イエルベ・エル・アグアにはトレッキングコースもあるそうです。滝のようになっている崖を色んな角度から眺めることもできるのだとか。色んな楽しみ方ができるようですね!

ツアーでは、このエリアで1時間ぐらい自由時間を取った後、ワゴン車に乗って市内に帰りました。

丸一日を移動した車内では、座席スペースをゆったり取ることができ、一人一列ぐらいの間隔で座っていました。そのため窮屈な思いをすることもなく、快適でした。

お昼ごはんは途中の食堂で食べましたが、車内で飲食も自由なので、お腹が減った時のために、サンドイッチとかフルーツとかを持参してもOK!

まとめ

以上、メキシコで参加した、オアハカ発の日帰りツアーの内容と、サポテコ族の遺跡ミトラが「死者の場所」と呼ばれる理由、そしてインスタ映えスポット「イエルベ・エル・アグア」について書かせていただきました。

遺跡好きの筆者としては、一番のメインであるミトラに行けたのでハッピーなのですが、こういうのは知れば知るほど古代の謎が深まって、余計に興味が出てきちゃいます。ラテンアメリカの文化人類学やりながら、余生を過ごせたら最高だろうなー笑

ここまでお読みいただきまして、ありがとうございました。

それではまた!

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