キューバの首都ハバナの治安:夜道が暗い・女性一人旅でも大丈夫? | mikolog

キューバの首都ハバナの治安:夜道が暗い・女性一人旅でも大丈夫?

ラテンアメリカの旅

キューバの首都ハバナの治安って、どんな感じなのでしょうか。

ガイドブックには「概して治安は良い」という記述もあるものの、ちょっと不安もあるし、実際のところは行ってみないと分からない部分も多いですよね。

この記事を書いている人は、女性一人旅で首都ハバナを含むキューバの都市をまわったことがある人。スペイン語話者なので、現地の人ともコミュニケーション取れます。

この記事を読めば、次のことが分かっちゃいます。

  • 首都ハバナの治安について
  • ハバナで「手の込んだ物乞い」にあったときの体験談
  • 「手の込んだ物乞い」の社会的背景の考察

早速読んでみましょう!

首都ハバナの治安について

ハバナの通り(本文とは関係ありません)

一般的に、キューバの治安は良いと言われています。

筆者はこの記事を書くにあたり、複数の旅行ガイドブックを比較してみましたが、どの本にも「キューバは他の国と比較して治安は良い」と書かれていました。

ただ、他の外国でもよく見られますが、観光客が多いエリアを中心に、次のような被害は起きているようです。

  1. スリ
  2. 置き引き
  3. 物乞い、など

上記のように、「①スリ、②置き引き」などは、治安のよいキューバといえど注意が必要です。次のような防御策は、忘れずに行いたいですね。

  • 人目の無い所に物を置きっぱなしにしないこと
  • バスや市場など人混みの中では、自分のカバンを目の前に持ってくること
  • 夜間外出する場合は、必要最小限の金額だけを持ち歩くこと、など

こういった「スリや置き引き」対策は、キューバ以外の国でも気を付けたい部分。

さらに実際に一人旅でキューバに行ってみて、「③物乞い(の進化系)」と思える案件に当たったことがあります。こちらについては後半で、キューバの社会的背景も踏まえつつ、詳しく考察してみます。

①注意点:夜道が暗い(街灯が少ない)

上記以外で、筆者が注意点として思い浮かんだのは、「夜道が暗い」という部分。これは、キューバならではじゃないでしょうか。

そう、キューバでは、首都ハバナでも街灯が極端に少なく、必然的に道が暗いです。筆者もですが日本のようにインフラの充実した国に生まれ育つと、「恒常的に夜道が暗い」というのはちょっとびっくりしますよね!

筆者は女性一人でキューバを旅行したのですが、夜中にお腹がすいて、飲食店を探して何ブロックか歩くことがありました。(読者の方には、夜間の一人歩きはお勧めしないですよ)

歩いていると、確かに何ブロック先も道が真っ暗でした。

ただその時感じたのは、「街灯が少なくて辺りが真っ暗だ」というだけで、昼間ののんびりした雰囲気は続いてました。

②女性一人旅で行ってみた感想

ということで首都ハバナでは、南米のリマやブエノスアイレスのような殺気を感じたことはなく、単に「夜道が暗い」という印象。

もちろん時と場合にもよるので、十分ご注意ください。特に女性一人旅の場合、日が暮れてからの単独での移動は、どの国に行っても避けた方がよいです。

でも基本的に、首都ハバナはのんびりした雰囲気が漂う街です。上記にあげたような点を気を付けていれば、女性一人でも大丈夫でしたよ。

ハバナで「手の込んだ物乞い」にあったときの体験談

次に、キューバの首都ハバナで、筆者が「手の込んだ物乞い」に遭遇した時の話です。

例えば海外にいくと、通りで「お金ください」と、直球で言うタイプの物乞いに遭遇します。比較的、よくあるパターンですよね。

でも「時間をかけたアプローチをする物乞い」には、キューバで初めて遭いました。

①パラダール(レストラン)に案内してくれるキューバ人女性

ハバナの旧市街地のイメージ

ある時、お腹が減ったのでハバナ旧市街地で、パラダール(現地の料理店)を探して通りを歩いてました。すると20代前半ぐらいの女性が、「何を探してるの?」とスペイン語で声をかけてきたのです。

  • キューバ女性「何か探してるの?」
  • 筆者「お腹すいたから、Aっていうお店に行きたいんだけど、知ってる?」
  • キューバ女性「知ってるけど、もっと安い現地人用のパラダールに連れてってあげる」

とのこと。

少しスペイン語で話してみて、そんなに怖い感じはしなかったので、少しだけ一緒に歩いてみることに。仮に、この女性を「マリアさん」とします。

5分ぐらい歩いて、そのパラダールに着きました。マリアさんも一緒に席に着きますが、飲み物だけオーダーして、「私は食べないから、ドリンクだけにする」とのこと。

自分だけ食べるのは気まずい気もしましたが、筆者はお腹がペコペコでした。モヒート(キューバのカクテル)と何か辛い料理を、がっつり頼んだ気がします。

②ついに本題に入るマリアさん(仮名)

パラダール(レストラン)にいた猫

出てきた料理を食べながら、旅行について、キューバについて、日本についてなど、スペイン語で色々話してました。

そしてついに、マリアさんは本題に入りました。「実は、私には小さい子供がいて、ミルク代に困ってるの」と切り出したのです。

「ほうほう」と思って食べながら聞いていると、彼女はこう続けました。

  • マリア「お金がないから、私に赤ちゃん用のミルクを買って欲しい」
  • 筆者「はい!?」
  • マリア「私のためにミルクを買ってほしい」
  • 筆者「私があなたの赤ちゃんにミルクを買うの!?何で?」
  • マリア「大丈夫、安いから(真剣な顔)」
  • 筆者「…」( ゚Д゚)

あまりの展開に、びっくりして無言になりました。笑

だって、いくら何でも知らない人のミルク、買わないっしょ。。

③絶妙なタイミングで近づいてくるミルク商人

更にびっくりしたのが、次の瞬間。

マリアさんがこの話を出すと、外の通りでミルクを売っていた商人が、私たちに近づいてきたのです。そして笑顔で、パックに入ったミルクの粉を見せてくれました。

あまりにもタイミングが良かったので、「もしかしたらこうしたやり取りが、日常的に行われているのかな?」と思ったほど。というかこの息の合った感じは、まあ間違いなく「いつもの光景」なんでしょう。

すごいなキューバ…。( ゚Д゚)

もちろん、この件については丁重にお断りさせていただき、パラダールに案内してくれたお礼を言って解散しました。お会計は別々で、マリアさんは自分のドリンク代を、筆者は自分のランチ代を自分で支払いました。

実際のところ、お金さえ絡まなきゃ、いい人たちだと思います。

こうしてきっぱり丁重に断れば、それ以上追いかけてくることはありませんでした。もしこういった「友達を装った物乞い」に遭遇してしまったら、ハッキリ「その気はない」とお断りしましょう。

所感:キューバならではの事情がありそう

もちろん、こういう人ばかりじゃないとは思いますが、筆者が現地の人と交流してみて思ったことは、次の通り。

  • 「外国人は基本的にお金持ちである」と思われている
  • ゆえに「キューバ人とは別の高額料金を徴収しても構わない」と思われている
  • そして「お金持ちにお金をもらうことは当然だ」と思っているキューバ人がいる

ハバナに滞在してみた結果、筆者のキューバ人に対する印象は、残念ながら上記のような感じになっちゃいました。

なお、筆者は南米の他の国にも一人旅で行っていますが、他の国では「一旦仲良くなってからお金をねだられるケース」はありませんでした。

もちろん全国民が当てはまるとは思っていませんが、もしかしたら「キューバならではの事情があるのかな」という印象。

キューバ人は基本的に優しいし、実直で良い人たちだと思います。ただそれは、「お金が絡まない限り」という但し書きが付く気がしているのです。その背景には、何があるのでしょうか?

筆者なりに、少し考察してみます。

キューバの社会的背景の考察:明確な外国人料金の存在

ここからは、「なぜ外国人に、お金をもらおうとしてしまうキューバ人が出てくるのか」について考察してみます。

日本に生まれ育つと、「外国人を見たらお金をもらえ」とは、あまりならないですよね。なぜキューバでは、このようなマインドになってしまう人が出てくるのでしょうか?(もちろん全員ではなく、一部の人です)

それを考察するにあたり、少しキューバの旧通貨制度について考えてみます。なぜなら、この二重通貨制度が、あるメッセージをキューバ人に発してしまっていると見ているからです。

①二重通貨制度:CUCとCUPの2種類の通貨

1994年~2020年12月まで、キューバには次のような、CUCとCUPの2種類の通貨がありました。

  • CUC (Peso cubano convertible)=兌換(だかん)ペソ、外貨・外国人用
    • 1CUC=1USD、に固定されていた
  • CUP (Peso cubano)=人民ペソ、キューバ人専用
    • 1CUP=CUCの1/25の価値

上記の通り、つい最近まで「キューバ人用のCUPと、外国人用のCUC」があったのです。つまり、全てにおいて「キューバ人価格と外国人価格」の2種類が存在してました

もちろん、キューバ人価格の方がだいぶ安いです。CUCは米ドル(USD)と1:1の価値で固定され、CUPはCUCの約25分の1で取引されていました。

②2021年CUPに一本化

そして2021年1月から、キューバ政府はこの2つの通貨を1つにまとめて、CUPに一本化します。

CUCを廃止した背景としては、外国人観光客に商売したり、海外の親族から送金を受けることができるキューバ人と、外貨が手に入らないキューバ人との間で経済格差が広がってしまう、という問題点を解消したかったようです。

以前から「CUCを廃止して、CUPに一本化したがってるらしい」という話は聞いたことがありました。2021年をめどに、ついに話がまとまったようです。

③外国人から見た二重通貨制度

この二重通貨制度、一見ややこしそうに見えるのですが、外国人として使ってみると結構シンプルでした。実際の運用としては、次のような感じ。

  • お店で買い物をする
  • CUCで請求される
  • CUCで支払う

そう、お店では外国人は一律CUCの金額が請求されるので、CUCでお支払いして終了、というわけです。ただ、CUPと比較して、もとの価格を考え始めてしまうと納得できないので、筆者は考えないようにしてました。

そして、現地の人がどんなに良い人でもどんなに仲良くなっても、「外国人は桁違いの料金を徴収されて当然」という態度を目にするたびに、すこし不可解でした。

例えば、現地の人と一緒にレストランで一杯ビールを飲んでも、料金は現地人と外国人とで異なるのです。「同じテーブルで同じものを頼んでも、外国人は現地の人の何倍もの値段を払う」という感覚は、いつまでたっても慣れないものでした。

④二重通貨制度が発したメッセージ

さて、キューバで26年間続いたこの「二重通貨制度」も終わりを迎え、2021年に一つに統合されています。

でもこの通貨制度は、結果的にキューバ人にこんなメッセージを発してしまったのではないでしょうか

  • 外国人は基本的にお金持ちである
  • ゆえに、キューバ人とは別の高額料金を徴収しても構わない

その結果、外国人にお金をもらうことを、当然だと思っているキューバ人が少なからずいるのではないでしょうか。もしかしたら、筆者がハバナで出会ったマリアさんも、その一人なのかもしれません。

ということで、「手の込んだ物乞い」に遭遇した背景として、二重通貨制度との因果関係について考えてみました。

まとめ

以上、次の3点について、体験をもとに書かせていただきました。

  • 首都ハバナの治安について
  • ハバナで「手の込んだ物乞い」にあったときの体験談
  • 「手の込んだ物乞い」の社会的背景の考察

結論としては、ハバナ観光は女性一人旅でも問題なかったですが、夜道が真っ暗な点と、物乞いが形を変えてやってくる点に注意してください。

ただ、あまり警戒しすぎて誰とも話さないと、これまたつまらない旅になっちゃうので、適度に警戒しつつ旅を楽しみたいですよね。

ここまでお読みいただきまして、ありがとうございました!

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