空港スタッフが語るオーバーブッキング体験談・お客様に機内から降りてもらう | mikolog

空港スタッフが語るオーバーブッキング体験談・お客様に機内から降りてもらう

空港の仕事

飛行機のオーバーブッキングって、どういう仕組みになってるのか、よく分からないですよね!空港では一体どういう基準で処理されているのか、そしてなぜ、すでに飛行機に搭乗したお客様が降りるという事態が起きるのか?

今回は、航空業界で働いた筆者が、機内に搭乗済みのお客様に降りていただいた経験を書いてみます。(二度と起きてほしくないという気持ちを込めつつ)

これを読めば、「航空会社のスタッフが行うオーバーブッキングの一般的な処理の仕方、そして機内に搭乗済みのお客様に降りてもらわなければならない状況や、スタッフの判断基準」などが分かっちゃいます!

早速読んでみましょう。

ある日のヨーロッパ行き

この日のパリ行き(仮)の便は、2名オーバーブッキング。つまり次のような状態でした。

  • 座席数:300
  • 予約数:302
  • オーバーブッキング:2名(300-302=-2)

オーバーブッキングというのは、「座席数を超えて予約が入っている状態」です。この便の場合、座席数300に対して、予約数が302。2名オーバーブッキングしています。

「なぜ航空会社がオーバーブッキングをするのか?」については、飛行機のオーバーブッキングはなぜ起こる?航空会社スタッフの目線でその理由を徹底解説を読んでいただけると嬉しいです!

スタッフもショックを受ける

スタッフとしては、出社早々に自分の担当便がオーバーブッキングしていると分かると、少なからずショックを受けます。なぜなら、仕事量が倍増する上に、遅延のリスクが高まるからです。いくらオーバーブッキングしていても、定時に出発させられなければ、自分の責任。(T-T)

同僚の中には、当日いきなり自分の担当便のオーバーブッキングを知ると心臓に悪いと言って、前日から予約状況をチェックしている人も。筆者も最初は担当便の予約数を気にしていました。でもある時、「前日に予約数を知ってしまうと、夜ご飯が美味しく食べられない」と気づいて止めました。やっぱり人間として、夕飯ぐらいは美味しく食べたいですよね!

振り替え先の航空会社を探す

というわけで、この日のパリ便は2名オーバーブッキングしているので、2名の協力者を探します。協力者とは、「他の便に乗ってもいいよ」と言ってくれるお客様のこと。

具体的には、予約のあるお客様のうち、「乗り継ぎのある人」を洗い出し、チェックインカウンターで「直行便に興味ありませんか?」と声をかけることにしました。

同時に、振り替え先の候補となる航空会社にも連絡を取ります。

  • 空席があるかどうか
  • 当社から最大2名振り替え可能かどうか

同業他社には上記のように、空席があるかどうかの確認と、もし全てのお客様が空港に来た場合、振り替えが可能かどうかを相談します。この時点でその会社も満席だと、このプランは使えないので、他のプランを考える必要があります。

この日は、A航空のローマ(イタリア)行き(仮)に空きがあったとします。もし最終的なチェックイン旅客数が、座席数をオーバーしてしまった場合は、A航空に振り替えるように調整しました。

なぜなら、2名オーバーブッキングしていたとしても、予約だけ入れて当日空港に来ない「ノーショー(No show)」のお客様もいるからです。そして、ノーショーが何名出るかは、当日のチェックイン終了時刻である、「出発1時間前」にならないと判断できません

オーバーブッキングに関するこの便の方針

この便では、パリ到着後に乗り継ぎでローマ行きの予約を持つお客様が5名。そのうち2名がイタリア人、あとの3名は日本人です。この5名に対してローマ直行便への振り替えを打診します。

便の責任者としては、次のような方針を立てました。

  • オーバーブッキング2名につき、A航空のローマ行きに振り替え可能なお客様を、2名確保する
  • チェックインスタッフは、パリ経由ローマ行きのお客様全員に振り替えを交渉する
  • チェックイン終了時刻である出発1時間前に、トータル何名の振り替えが必要かを判断し、振り替えを実施する
  • そのため、振り替えに同意してくれたお客様には、出発1時間前にチェックインカウンターに戻ってきてもらう

つまり、「日本ーパリーローマ」の旅程を持っているお客様に対し、もしこの便が満席になった場合は「日本ーローマ」の直行便に乗ってもらえないか?と相談するのです。

了承いただけた方のみが振り替えの候補者となり、断られた方に対してはそれ以上お話を進めたりはしません。

ただし、例えその場で合意を得られたとしても、2名ぐらいのオーバーブッキングであれば、当日空港に来ない「ノーショー」のお客様でカバーできてしまうこともよくあること。

つまり、実際に直行便に乗ってもらうかどうかは、チェックイン締め切りの1時間前、ギリギリまで待って判断することになります。

出発3時間前:チェックイン開始

出発3時間前に、「ブリーフィング」と呼ばれる全スタッフによる打ち合わせを行い、チェックイン担当者全員に、その日の便の方針を伝えます。

  • オーバーブッキング2名につき、A航空のローマ行きに振り替え可能なお客様を、2名確保してほしい
  • チェックインスタッフは、パリ経由ローマ行きのお客様全員に振り替えを交渉する
  • 責任者はチェックイン終了時刻である出発1時間前に、トータル何名の振り替えが必要かを判断し、振り替えを実施する
  • そのため、振り替えに同意してくれたお客様には、出発1時間前にチェックインカウンターに戻ってきてもらう

といったことを当日のスタッフ全員に伝えて、方針を共有するのです。この時、システム上にも特記事項を入れて、交渉対象者であることが分かるようにしてあります。

ただ新人の頃の時などは、こういう特別なケースの交渉がとても難しいんですよね。普通のチェックインをするだけでも大変なのに、「満席になった場合は他の便に乗ってほしい、でも満席にならなかったら、うちの便に乗ってほしい」というお願いをお客様に伝えるのは、結構大変。笑

筆者も最初は意味不明だったので、新人さんがこういう交渉が必要なお客様の接客をしている時は、できるだけ見つけて手伝えるようにしていました!

ポイントは、インターネット・チェックインのお客様の把握

最近メジャーな「インターネット・チェックイン」をされたお客様に対しても、どこかの時点で振り替えの案内をします。たとえインターネットで搭乗手続きをされていても、次の1、2のどちらかのタイミングで、お客様にコンタクトを取るのです。

  1. 手荷物を預ける方:チェックインカウンターにて交渉
  2. 手荷物を預けずに搭乗口にそのまま進む方:搭乗口で交渉

この日はインターネット・チェックインのお客様が多く、予約数300名のうち、約120名がチェックイン済みでした。

オンライン手続きが普及して、お客様にとっては便利になったものの、スタッフにとっては、お客様にコンタクトする地点が増えただけで、仕事量はあまり変わっていなかったりします。

特にオーバーブッキングの時は、「何名がノーショーなのか」を、確実に判断する必要があるので、インターネット・チェックインの方が「本当に空港に来ているのか、いないのか」は、かなり死活問題。

その理由を、詳しく説明します。

搭乗口に来ない可能性があるかどうか

チェックイン終了間際は、色々な件で各部署と連絡を取り合ってバタバタするので、平常時では何でもない「数の計算」が、冷静に判断できない瞬間があります。

そのため、インターネット・チェックインのお客様で何名がまだ空港に来ていないのか、現時点であと何席空いているのかを、平常時から確認し、頭の中で自分の計算が合っているかを、リチェックしています。

仮に、チェックイン終了時刻である出発1時間前に、次の状態になったとします。

  • 座席数:300
  • 予約数:302名
  • チェックイン数:301名
  • インターネット・チェックイン:120名
  • インターネット・チェックインの中で、まだ空港に来ていない方:1名(最終的に、搭乗口に来ない可能性がある)

この場合、チェックイン数が301なので、1名振り返る必要が出てきます。ただし、不確定要素がまだ残っています。インターネット・チェックインの方で、この時点でまだ空港に来ていない1名の方は、最終的に搭乗口に来ない可能性があるのです。

それぞれ会社の規定にもよりますが、インターネット・チェックインの方も、一旦チェックインカウンターに立ち寄って、渡航書類の確認をさせてもらう場合がほとんど。(チェックインの時に、スタッフが渡航書類の確認などをすると、システムが上書きされるので、まだ一度も空港に来ていないお客様と区別することができます。)

その手続きの締め切り時刻になっても、空港に来ていない場合、2通りの可能性が考えられます。

  1. 「インターネットでチェックインしているから、空港にギリギリに行っても大丈夫だ」という雰囲気で、ゆっくり空港に来ている場合
  2. インターネットでチェックインしたけど、何らかの理由で乗れなくなってしまった。予約センターに電話したけど繋がらなかったという場合

①なら、チェックインの数に含めておいて大丈夫です。なぜなら、搭乗口に来るはずだからです。しかし②の場合、お客様が乗らないことが分かっていても、システム上、チェックインのキャンセルができないことがあるのです。

この「インターネット・チェックインの中で、まだ空港に来ていない方の数」を完全に「チェックイン済み」と見なしてしまうと、「実はキャンセルできていないだけ」だった場合に、運航便に影響があります。

つまりその便がオーバーブッキングしていて、1席が重要だった場合、「インターネットの方が来るはずだと思って席を取っておいて、1名を他社に振り替えたものの、結局インターネットの方は来なくて、余分に1席空いてしまった」という事態になります。

言い換えると、「他社にお金を払って振り替えてもらったのに、自社便に空席を作ってしまい、本来払う必要のない費用を発生させてしまった」ということに。

たとえ、他社に振り替えた末に1席空いても、「今回はインターネットのお客様都合の結果だから、私は悪くない」と言い張るのもアリです。ただ他社に振り替えると、その分費用も発生します。トータルで考えて、コストがかからない方法で処理するのが、本来はベスト。

筆者は最初の頃、この計算が苦手でした。自分の頭の中だけで判断して、もし計算ミスしていた時の影響の大きさも考えて、「誰かに一緒に計算してくれないかな」と常に思っていましたが、皆忙しいので一人でやるしかありませんでした。笑

「えっ、インターネット・チェックインが普及したら、スタッフは暇になるんじゃないの?」と思った方、その理由をチェックインと出入国審査の違いとは?の記事で詳しく解説しています。こちらも読んでいただけると嬉しいです!

交渉は順調に進む

チェックイン担当のスタッフが一人ずつお客様に交渉してくれ、目標の2名の合意を得ることができました!1名はイタリア人のお客様、もう1名は日本人の方です。

協力してくれたお客様は、手荷物を1点ずつチェックインされたので、飛行機の「バルク」というスペースに搭載を指定し、出発直前まで搭載をスタンバイしてもらいました。

(参考)バルクとは

バルク(Bulk)とは、飛行機の一番後ろにある小さな貨物室のことで、下の画像の赤い四角部分。出発直前まで開けていて、最後に届いた荷物をさっと搭載したりするのに使用します。

(参考)バルク

下の図は、飛行機の床下にある貨物室を上から見た図(だいたいのイメージ)。お客様が乗る客室の下には、こんな世界が広がっています。客室で「座席:31D」などと番号が付いているように、床下の貨物室にも番号がついているのです。

(参考)飛行機の床下を上から見たイメージ図

参考までに、上の図に出てくる記号「L、R、P」についての解説をしておきます。

  • L=Left(左側)、コンテナ用ポジション
  • R=Right(右側)、コンテナ用ポジション
  • P=パレット用のポジション

LとRは、コンテナ(箱のような入れ物)を搭載する時に使う場所の名前。進行方向に向かって左側がL、右側がRです。Pはパレット(お皿のような入れ物)用の名前。

アルファベット「L、R、P」と、数字「10~50番台」を組み合わせて、貨物や荷物の搭載場所を表します。このように搭載場所を細かく区切って管理することで、飛行機のバランスや重量を計算するのです。

バルクは飛行機の一番後ろの貨物室で、コンテナやパレットに組み付けずに搭載します。取り下ろす可能性が1%でもある荷物は、コンテナに入れてしまわず、バルクに搭載するようにしていました。

なぜなら、コンテナに入れて奥の方に搭載されてしまうと、いざ取り下ろす場合に、捜索・取り降ろし・再搭載が発生し、トータル20分以上かかってしまうことがあり、遅延に繋がるからです。

出発1時間前:チェックイン終了・フライトのクローズ

さて、出発1時間前になりました。オーバーブッキング2名でしたが、結局次のような結果に。

  • 座席数:300
  • チェックイン数:300名
  • インターネット・チェックインをして、まだ空港に来ていない方:5名
  • 予約を持っていても空港に来ない方(ノーショー):2名

インターネット・チェックインのお客様が5名、まだ空港に来ておらず、搭乗口に来る予定。この5名を含んで、トータルで見てぴったり300席が埋まった状態。よって、他社便に振り替えをお願いすることもなく、チェックインを終了しました。

この時点で「他社への振り替えはゼロ」と決定したので、「もしもの時は直行便に乗ってもいいよ」と同意してもらったお客様2名には、「やはり空席が出たので当社に乗ってください」と案内。預かっていた荷物も、バルクに搭載の指示を出します。

出発30分前:搭乗開始

搭乗口の責任者(B君)からは、出発30分前に「予定通り搭乗を開始する」との連絡がきました。

筆者はフライト全体の責任者だったので、チェックインカウンターに残り、他の処理をしたり、搭乗状況をモニターしています。

出発20分前:オーバーチェックインが発覚

搭乗開始して10分後(出発20分前)に、搭乗口の責任者であるB君から無線連絡が入りました。B君は、「オーバーブッキングが発生しました」と言っています。

  • 筆者「え?オーバーブッキングはもう解消してるよ、ノーショーの方が2名いらっしゃったから」
  • B君「いえあの、〇△■✖▼◇・・・」

と、電波が悪い訳でもないのに、B君が何を言っているのかもはや聞き取れず、言葉にならない言葉を発して、無線は途切れました。

そして事件は起きた

よく分からない連絡が来たので、「!?!?」と思い、急いで搭乗口に電話したところ、同僚のCさん(頼れるお姉さま)が出てくれました。

  • Cさん「ヤバいよ、B君がチェックインの手続きをミスして、1名オーバーチェックインになってる」
  • 筆者「え!どのお客様のチェックインをミスしたの?」

出発時刻が迫る中、Cさんと二人で経緯を検証しました。(この時点では、詳しい状況がよく分からず、あくまでイマジネーション)

恐らくB君は、「山田さん」というお客様のチェックイン時に、誤って「山本さん」のデータを参照してしまったのです。「山本さん」は、ご自身でインターネット・チェックインしていて、搭乗手続き済みでした。

「山田さん」をチェックインしたいB君は、間違えて「山本さん」のチェックイン画面を開いてしまいます。しかし「山本さん」はすでにチェックインしてあり、搭乗券もご自身で印刷済み。B君はそのチェックイン画面を見て、「山田さん」はインターネット・チェックインのお客様だと勘違いします。そして勘違いしたまま、インターネット・チェックインの旅客に対して通常行っている、「搭乗券の再発行」を行います。

※通常、まだチェックインされていないお客様を受け付ける場合は、システムに「チェックイン」のコマンドを入力してチェックインします。しかしインターネット・チェックインされたお客様の場合は、システムを開くとすでにチェックインされています。この場合は、チェックイン済みの画面で搭乗券を発行する「搭乗券の再発行」のコマンドを入力して、搭乗券を出力しています。B君が行ったのは後者の処理でした。

搭乗券とは、「チェックインシステムの画面を印刷した紙」なので、たとえ他の人の搭乗券でも、コマンド一つで、いくらでも再発行できてしまいます。パスポートの氏名と、搭乗券の整合性をチェックするのが、スタッフの仕事。

つまりB君が、目の前のお客様のパスポートの氏名と、自分で発行した搭乗券の氏名を照合していれば、この事態は起きませんでした。手続きミスの原因は、スタッフの単純な確認不足です。

B君が通常通りに手続きを行っていたなら、ここで1名チェックイン数が増え、「山田さん」がチェックインされるはずでした。しかしB君の見間違いにより、「山田さん」はチェックイン数にカウントされないまま、「山本さん」の搭乗券を手渡されてしまいます。この処理が原因で、この飛行機は1席足らなくなってしまいます。

一方、インターネット・チェックインをした「山本さん」は、手荷物の預けが無かったので、カウンターに立ち寄らず、ご自身で印刷したA4紙の搭乗券を持って、搭乗口に直接お越しになりました。

1席足らなくなった状況の整理

状況を、もう一度まとめます。

  1. 山田さん:B君が発行した「山本さん」の搭乗券を持って、搭乗口に来ている
    • 係員のミスにより、システム上チェックインされていない
  2. 山本さん:ご自身でインターネット・チェックインして搭乗口に来ている

つまり、「山本さん」のお名前で2枚搭乗券が発行されてしまっているのです。一人の名前で搭乗券が2枚発行されていて、1枚は本人が所持、もう一枚は別人(山田さん)に手渡されてしまうという、あってはならない事態が起きてしまいました。

「山田さんと山本さん、確かに似てるっちゃ似てるけど・・・普通は間違えないよね?」と心の中で思いつつ、何とか事態を収拾させなければなりません。

こうして原因を検証している間にも、時間は刻々と過ぎていき、お客様はどんどん機内に搭乗していきます。未搭乗の方は、約100名。もうすでに3分の1のお客様が搭乗済みでした。

出発15分前:機内のお客様に降りていただく

とりあえず、未チェックインだった「山田さん」はすぐにチェックインし、搭乗者数に含めてもらいます。その結果、1名の「オーバーチェックイン」になりました。

オーバーチェックインというのは、飛行機の座席数を超えてチェックインしてしまうこと。

  • 座席数:300名
  • チェックイン数:301名
  • オーバーチェックイン:1名

例えチェックインにミスがあっても、その便の予約数が少なければ、そのまま1名追加でチェックインをすれば済む場合も。ただ、この便はオーバーブッキングしていて、1名でも手続きにミスがあると、座席が足らなくなってしまいます。

座席が足らなくなった場合、飛行機は出発できません。安全上、全員が着席しベルトなどを装着することが必要なのです。お客様の中で誰か1名に、飛行機を降りてもらう必要が出てきました。それも、出発15分前に。

お客様は、すでに出国審査を通過して、搭乗口に集まってきています。更に200名の方はすでに機内に入ってくつろいでいる状況。そんな中で、飛行機から降りて下さる方を探すのです。正直言って、こんな最悪なケースは前代未聞。(T-T)

イタリア人に賭ける

筆者は便の責任者だったので、即座に誰に降りてもらうかを決めなくてはなりませんでした。自分が搭乗口にいて、お客様の反応を見て決められるならまだしも、チェックインカウンターにいて、システムだけを見ているのです。

もう、「えいやっ」と決めるしかない!

ということで、当初、直行便に振り替えの交渉をして、了承してもらっていたイタリア人のお客様に、再度お願いしてみることにしました。

もう1名、日本人の方も了承してくださっていましたが、こういう急な予定変更は、「お家に帰るだけ」であるイタリア人の方がOKしてくれるはずと思い、まずはイタリア人の方から当たってもらうことに。

搭乗口のスタッフが機内に入り、イタリア人のお客様の座っている座席まで向かい、相談してもらいました。

その結果、なんと「OK!」

イタリア人のお客様は快諾してくれ、すぐに飛行機から降りてくださったのです!

ありがたいー(T-T)

まさかの定刻出発

お客様に飛行機から降りてもらう時は、その方の荷物も一緒に飛行機から降ろします。

当初、振り替えを交渉した方の手荷物は、例の「バルク」に搭載依頼をしていました。出発直前でも、開け閉めしやすいバルクですね。そのお陰で、ものの5分少々で取り下ろしが完了。

そして、まさかの定時出発が達成できてしまったのです。

何ということでしょう、出発20分前にオーバーチェックインが発覚し、機内から1名降りてもらう、という最悪な事態なのに、まさかのオンタイム。すごいチーム力です。

交渉のために機内に入ってくれたスタッフに、後で聞いたところによると、イタリア人のお客様はすでに、機内で座席に座って背もたれを倒し、靴を脱ぎ、完全にリラックス状態だったそうです。(ほんと申し訳ない)

恐らく、その時のスタッフがものすごい緊迫感を持ってお願いしたので、不憫に思って助けてくれたのではないでしょうか。

こんな体験は、後にも先にもこれだけでしたが、心臓に悪いので二度と起きないことを祈ります!

まとめ

以上、「航空会社のスタッフが行うオーバーブッキングの一般的な処理の仕方、そして機内に搭乗済みのお客様に降りてもらわなければならない状況、その場合のスタッフの判断基準」について、体験を元に書かせていただきました。

オーバーブッキングの結果、機内に搭乗済みのお客様に降りてもらう状況というのは、単純な「オーバーブッキング」だけではなく、複合的な要因があることが、何となくお分かりいただけたのではないでしょうか。

また、空港スタッフは何もしておらず暇そうに見えるとは思いますが、実は結構こまかい計算を頭の中でやっていることも、たまにはあるのです。「この計算を間違えるとヤバいことになる」というプレッシャーの中、読み間違いや漏れはないか?と一人で考えていたりするかもしれません。

ここまでお読みいただきまして、ありがとうございました。

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