外資系企業に転職したら、休みは取れるの?実際のワークライフバランスを比較してみた | mikolog

外資系企業に転職したら、休みは取れるの?実際のワークライフバランスを比較してみた

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就職・転職の時に、確認を忘れてはならないのが「年間休日と有給休暇」。これは、実際に働き初めてから不満に思う部分NO.1です。でも、企業との面接段階では、なかなか聞きづらい部分でもあります。

内定やオファーをもらった後で企業側に聞いても、果たしてどれぐらい本当のことを言っているのか判断が難しいところ。なぜなら、もしその段階で企業側が「有給休暇制度はあるけど、実際には休めません」と答えたら、オファーを出した人を逃すことになりかねないからです。

特に業務がハードだと言われる、外資系企業に就職・転職する時は、実際にどれぐらい休みが取れるのか、ワークライフバランスはどうか、そして仕事の調節が可能かどうかは、重要ポイント。少しでも多く情報をつかんで、ハッピーな就職・転職をしたいですよね。

今回は、外資系・日系企業の両方で働いた経験のある筆者が、外資系に転職してみた結果、実際のワークライフバランスはどうだったかについて、日系企業と比較しながら書いてみます。

これを読めば、「外資系企業は休みが多いというのは本当なのか、季節による変化の有無、そして外資系と日系企業のワークライフバランスの比較」が分かっちゃいます。早速読んでみましょう!

外資系企業では役割が明確

まず押さえておきたい外資系企業の特徴は、日系企業と比較して「自分の役割が明確」ということ。仕事のポジションごとに、業務範囲が決まっていて、責任の範囲が明確。そのため、業務上「自分の役割を果たす」ことが最も求められます。

逆に言えば、この役割を果たしていれば、休みはフレキシブルに取ることができます。もしかしたら、外資系では日系企業よりも人が少なく、一人当たりの業務量が多いため、「皆自分の仕事で精一杯、他の人の休みの話にまで関わっていられない」という点もあるかもしれません。

ただし、休暇を取る場合は、社内の誰かにその役割を委任(Delegation)することが必要です。ちゃんと委任者が見つかればゆっくり休めますが、見つからなかったら、ちょくちょく家から会社メールを覗く羽目に!

外資系航空会社の場合

例えば、外資系航空会社で、ある空港の責任者を担当しているとします。取引先は、日々の業務を契約している次のような会社。

  • 旅客・搭降載・貨物・運航ハンドリング会社
  • 保安検査会社
  • 機内食会社
  • 空港会社 など

それに加えて、その空港での管轄の官公庁の連絡窓口ともなります。

  • 出入国管理局
  • 税関
  • 検疫所
  • 管制 など

官民あわせて、これらの全部門からの連絡に、タイムリーに答えることが求められます。それがこなせていれば、基本的に休みを取ることが可能です。

ただ、官公庁では電子メールで連絡する習慣があまり無いようで、用件があれば毎回電話がかかってきます。やり取りする書類も、「メール添付は不可、FAXのみ」だったり、「書類をFAXした後で、赤いハンコを押した原本を持参」が必須だったりします。

こうなると、スマホでササっと返信するようなことはほぼ不可能。毎回書類を印刷して、ハンコを押し、添え状を作り、FAX機で送り、更にアポを取って原本を持参したり、封筒に入れて切手を貼って郵送したり、という手間と経費が常にかかります。

フライト関連の緊急の件も少なくありません。休みの日にも携帯に電話がかかってくることはしょっちゅうありました!

有給休暇の消化

外資系企業:有給休暇の消化は半ば義務

外資系では、こうした「自分の役割」を果たしてさえいれば、有給休暇は取りやすいです。「休暇中は絶対に仕事をしない」と強い気持ちを持てば、ワークライフバランスは保てます。日系企業に見られるような「有給休暇を取るのはけしからん」という雰囲気は、外資系企業では見られません。

むしろスタッフの有給休暇の消化率が低いと、上司が管理できていないと見なされる原因になるので、上司が「お前そろそろ休め」という勧告をすることも。

また会社によっては、有給休暇の消化が全社員に義務付けられていたり、義務ではなくても「1年で全有給休暇が消滅する」というルールの会社もあったりします。スタッフは仕事を抱えながらも、必死に休みを取る方法を考えます。

外資系企業は休みが多いかどうか?と考える時、少なくとも「有給休暇を全て消化することができる」というのは、一つのポイントだと思います。なぜなら、有給休暇制度があっても、消化できない場合は、有給休暇が無いのと同じだからです。

休み方のスキルとは

休み方にもスキルが必要だったりします。筆者は、外資系企業に入って最初の頃は、休み方が下手で、有給休暇が取りづらい気がしていました。仕事の進捗を考えてしまっていたのです。重要なのは、「仕事は無限に続いていても、組織である以上、自分がいなければ誰かがやる」という点。これは人数が少ない外資系企業であっても同じです。

休み方のポイント、それは次の3つだと考えます。

  1. 休みの日を決めて、チームの予定に早めに組み込んでしまう
  2. 周囲に宣言することで、自ら後に引けない環境にする
  3. 社外にも知らせて、会議や出張を入れないように調整する

上記のように、①「この期間は休む」と決める、②それを周囲に宣言する、③そして徐々に周りから固めていく、この3点がポイントなんじゃないでしょうか。

先に宣言しておくことで、後で何らかの仕事がその日程に発生しても、「その日は私はいないので、誰か対応お願いします」と委任すればよいのです。このポイントが分かってからは、有給休暇を取れるマインドになりました。

日系企業:有給休暇は絵に描いた餅

一方、日系企業では、「有給休暇を取ること自体が非常識、有給休暇は甘え」という考え方が根強い会社もあるようです。

そのため休暇を取った後で出社する際、「先日は休暇をいただきまして、ありがとうございました。ご迷惑をおかけしました」と、神妙な顔で菓子折りを持って行脚することが暗黙のルールになっていたりします。

「裏の部内目標」って何?

更に、社員の有給休暇の消化率を下げることを「裏の部内目標」にしている会社もあったりします。以前、筆者が日系企業にいたころ、全く有給休暇が取れない状況が5年ぐらい続いていました。毎年、繰り越された有給休暇は、どんどん消滅してきます。

「なぜだろう。なかなか休みが取れない。ワークライフバランスってどこの国の話?」と不思議に思っていたら、マネジメントの間で、次のような会話がなされているのを目撃してしまったことが。

  • 課長「今月の有給休暇の消化率も、この数字以下に抑えて行きたいと思います」
  • 部長「ヨシ!」

恐らく会社としては、できるだけ社員を働かせて有給休暇の取得を減らすことで、コストをかけずにパフォーマンスアップを目指しているのでしょう。そしてそれを、どうやら毎月の「裏の部内目標」にしていた様子。

社員が有給休暇を取れない、というより、そもそも会社側に取得させる気が無かったのです。皆さん、こういう会社からは早めに逃げましょう。

外資系企業の12月の風物詩

外資系企業は、12月は「ほとんど休み」みたいな感じです。なぜなら、クリスマスで外国人チームが休暇に入ってしまうから。この時期は、溜まっていた自分の仕事を片付けたり、一息ついて長期休暇を取る人もいました。そんなわけで12月は、日本人の同僚も、ワークライフバランスが保てる人が多かったです。

筆者がいた外資系企業では、毎年1月に有給休暇がリセットされるルールでした。そのため毎年12月は、残りの有給休暇を必死で消化した記憶があります。

しかし、あくまでも冒頭に述べた「自分の役割」はこなさなければなりません。もちろん誰かに委任できる部分は委任しますが、役職が上がるにつれて責任が増え、委任できない部分も増えてきます。

そんな「有給休暇の消化」と「自分の役割」に挟まれた結果、筆者は12月には有給休暇を消化しながら、家でずっと仕事をしていることも多々ありました。翌月には全て休暇が消滅してしまうから、12月中に使わなければ何か損した気になるからです。笑

外資系は休みは多いけど、仕事も多いというのが実際の体感でした。

あれ、「有給休暇を消化しながら自宅勤務」って、こんなん、単なる自宅勤務やんけー!(T-T)

普段のワークライフバランスは

外資系企業:パフォーマンス重視でメリハリがある

毎日の終業後はどうでしょうか?

外資系企業では、仕事が終わった瞬間に帰る人が結構います。上司に聞きたいことがある時、仕事がひと段落してから捕まえようと思っていたら、終業時刻頃にふっと振り返ると、すでにもう姿が見えないことも!

  • 筆者「(ドアの近くに上司を見つける)上司さん、ちょっと待って!」
  • 上司「ごめんねー犬の散歩行かなきゃ!」
  • 筆者(犬か…犬も家族だもんな…)

こんな感じで、さーっと帰っちゃう「帰宅上手」な人がたくさんいました。笑

ただし「自分の役割」が明確なので、持ち帰って仕事をする人も多いです。18時ぐらいに一旦帰宅し、家族のために夕食を作り、一緒にご飯を食べて、子供を寝かしつけ、夜中の23時から仕事再開している人も。(尊敬しかない)

また、外資系企業では、「朝7時から働く代わりに、夕方16時に帰る」など、ライフスタイルに合わせて自由に働くことが認められていました。

皆それぞれのペースで働いていて、終わったらさっと帰るので、完全に個人主義といった雰囲気。「さーっと帰っていく上司を、即座に捕まえる技術」も求められます。笑

日系企業:会社への忠誠心を見せる所

ちなみに日系企業で重視するのは、パフォーマンスではなく、会社への忠誠心だと思われます。

具体的に言うと、「ずっと会社に残ってる人」で、なおかつ「残業を申請しない」という気づかいができる人は、実業務がイマイチでも、かなり評価が高かったりします

日系企業の例

例えば、日系の会社で働いているとします。シフト勤務で、朝5時に出社して、17時ぐらいに仕事が終わります。17時には、もう眠くて仕方ありません。

翌朝も5時に出社だとすると、朝4時にタクシーに乗車するので、翌朝の起床も朝3時です。夜21時に寝ても6時間睡眠。一秒でも早く家に帰って眠りたい気分。ワークライフバランスどころか、どうにか生命を維持している感じ。

朝3時に起きて出社したことがある方、いらっしゃいますか?実際にやってみると分かるのですが、3時というのは、人間の起きる時間帯ではありません。昼休みに仮眠を取ったうえで、コーヒーを飲み続けないと、午後はナチュラルに眠くなる、というハードな勤務。

そんな中、当時いた部署は業務に就くために社内資格が必要で、その社内資格を取るための試験が難しいと言われていました。社内試験に合格すると、どうなるのでしょうか。晴れて一人前と見なされて、単独で業務ができるようになります。(ちなみに試験に合格しても、お給料には影響なし)

たとえ不合格になっても、即クビになることはまずありません。何回か追試や補習を行ってボトムアップをはかります。

とはいえ、何か月もかけて専門的な知識を身に付けていくので、中には一見して誰か分からなくなるぐらい激痩せしたり、超優秀な人が「合わない」と言って半年で辞めていったり、メンタルをやられて会社に来れなくなった30-40代の働き盛りの方が、恒常的にいました。(つらい)

そんなある日、偉い人から、こんなお達しが。

偉い人「早番の後も、自主的に『仕事のお勉強』をしましょう。でもそれは残業時間には含めてはなりません。なぜなら『仕事のお勉強は自分のため』だからです」

筆者「・・・ちょっと何言ってるのかよく分からない」( ゚д゚)

中には、それを忠実に守った社員がいました。その人は、夜の20時頃に「辛い」と言って会社でシクシク泣き始めてました。個人的に疑問だったのは、朝3時に起きた日に、夜20時まで残ってお勉強をして、どれぐらいのパフォーマンスが得られるのか、という点。

そこでお勉強の取り扱いについて確認すると、どうやら業務指示ではないとのことだったので、筆者は空気を読まず、一秒も「残ってお勉強」しないことにしました。毎日、業務が終わった瞬間に「お疲れ様でした!」と帰り続けたのです。代わりに、試験前には帰宅後にお風呂の中で資料を読んだりしました。

その結果、一年後はどうだったでしょうか?

驚いたことに、業務には全く支障がなく、難しいと脅された社内試験(筆記・口頭試問)はすべて一発合格、チームとも仲良くやっていたのです。

常に一貫して定時退社し、ワークライフバランスを守っていたのは、筆者ぐらいなものでしたが、「会社に残ってお勉強」は一種の精神論だったと、証明できたのではないかと思います。

まとめ

以上、日系企業から転職して外資系で働いた経験をもとに、「外資系企業は休みが多いというのは本当なのか、季節による変化の有無、そして外資系と日系企業のワークライフバランスの比較」について書かせていただきました。

外資系が働きやすいと感じる部分は、休みの取りやすさ、そしてメリハリのある働き方でした。ただ仕事量も多いので、ワークライフバランスは自分次第、つまり「業務をどれだけ調整できるか」がポイントだと思います。

最後にもう一つ、忘れてはならないのが「残業代」。筆者のいた会社では、残業代は、外資・日系どちらも付きませんでした!でもその理由は少し異なっていたのです。ざっくり言うと、次のような感じ。

  • 外資:労働契約上、残業代が組み込まれた「年俸制」だった
  • 日系:労働契約上、残業代は存在するが、「絵に描いた餅」だった

そう、残業代は、契約上存在していても存在しなくても、どっちみちもらえなかったのです。日系企業では、残業代の制度があっても、実際の運用では、取得がほぼ不可能だったりします。皆さんは「年俸制」と「絵に描いた餅」だったら、どっちが良いですか?笑

ここまでお読みいただきまして、ありがとうございました!皆さんの就職・転職のご参考になれば嬉しいです。

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