【転職体験談】外資系と日系どっちが働きやすい?カルチャーの違い・よかった点を比較してみた | mikolog

【転職体験談】外資系と日系どっちが働きやすい?カルチャーの違い・よかった点を比較してみた

英語・転職・外資系

「転職して、外資系企業で働いてみたい!」と思ったことがある方はいますか?外資系は、日系企業に比べてお給料が高かったり、仕事を任される裁量も大きい、なんて話もよく聞きますよね。一方、外資系で働く人間にとって、日系は安定して魅力的に見えたりするもの。

でも実際に転職先としてリサーチしていても、やっぱりカルチャー面は、数回の面接では分からない点も多いもの。最終的には、入社してみないと分からない部分なのです。

そして、この目に見えないカルチャー面こそが、業務の次に大事な部分で、入社後の居心地や定着率にも影響するポイントだったりします。これは、心してリサーチしたい部分ですね!

ということで今回は、転職して外資系と日系企業の両方に所属した筆者が、実体験を元に双方のカルチャーの違いを考察してみました。

この記事は、「日系→外資」に転職を考えている方、逆に「外資→日系」のトランスファーを考えている方、「外資系と日系どっちが自分に合うのかな?」とリサーチ中の方にお勧めです。

これを読めば、外資系と日系企業における「社内メール、遅刻・欠勤の連絡、『お疲れ様です』の使い方、」の違いや、転職してよかった所が分かっちゃいます!早速読んでみましょう。

社内メールのお作法

メールは、今やなくてはならない重要なツールです。筆者は、日系企業と外資系企業の両方に所属してみた結果、両者のメールには、明らかな差があることに気づきました。

日系企業:丁寧で長い

日系企業のメールは、件名・敬称・内容、その全てにおいて丁寧さが求められます。流れるような文章、相手への気遣い、日本的な美しさにあふれています。ただし、長くなりがちで、論点がぼやける傾向にあります。

件名「田中さんの経費精算につきまして」

〇〇部 田中課長 殿

お疲れ様でございます。
XX部の山田でございます。

先日は、お忙しいところお時間をいただきまして、ありがとうございました。

さて、標記の件、田中さんにご提出いただいていた添付のレポートですが、
領収書のご提出が無いため、処理が止まっております。
どのようにさせていただけばよろしいでしょうか。

以上でございます。
もし分かりづらい点がございましたら、申し訳ございません。
お忙しいところ恐れ入りますが、どうぞよろしくお願いいたします。

XX部 山田

例えば、件名「田中さんの経費精算につきまして」とあります。「につきまして」という、必要不可欠ではない情報を付けるのは、日系企業の特徴ではないかと思っています。外資系企業ではあまり見られませんでした。

本文は、非常に長いメールに見えますが、本当に伝えなければならない事象は、赤文字部分(実質3行)であることが分かります。日本人は社内であっても丁寧さを忘れないため、このような3倍のメールになってしまうようです。

また、お名前の前後に「部署名、役職名」が付き、その後に「殿」までついています。これは、外資系企業のメールには見られない大きな特徴と言えます。また、会社によっては社内でも「〇〇様」と呼び合う会社もあり、カルチャーは様々。

冒頭に、「お疲れ様です」または「お疲れ様でございます」のような挨拶があります。これは相手の疲労を心配しているのではなく、「接頭語」のような意味合いです。(接頭語なしにダイレクトに本題に入ることは、失礼であると考えられているようです。)

文末で、「申し訳ございません」と謝っています。特に過失が無くても謝るのは、日系企業の特徴だと思います。外資系で謝る場合は、たとえば契約上の過失を認めて、最悪の場合訴えられても仕方ないと思える場合が多いです。

外資系企業①要点のみ

一方、これが外資系企業だと、こんな感じに。

件名「20日の経費精算」

田中さん、

添付、先日ご提出いただいたレポートですが、領収書がありません。
原本を添付して、再度提出してください。

山田

日系企業バージョンと比較して、次のような違いがあることに気づきます。

  • 件名がそれほど長くない
  • 役職者であっても社内の人間には「さん付け」
  • 名前の後に、部署名、役職名は付けない
  • 更に、その後に「殿」を付けることはない
  • 一行目から本題を書く

たとえ相手が上司や社長であっても、「さん付け」で呼ぶフラットな組織が多いです。内容も、ポイントだけが書かれており、「お疲れ様です」などの接頭語や接尾語は省略されています。メール一つとっても上記のような違いがあり、面白いですね。

皆さんは、メールの送り方は日系・外資系どっちがお好きですか?これは完全に個人の好みだと思います。ちなみに筆者は、このようにシンプルなメールを書けると時間が短縮できるので、外資系に転職してよかったと思いました。

外資系企業②英文メールの場合

これが外国人からの英文メールだった場合も、だいたい同じです。

Hi Cindy,

Attached, we received your reimbursement form
and noticed you were missing the original receipt.
Please help to resend.

Best,
Angel

日本語での意味は、だいたい「添付の払い戻しフォームを受け取りましたが、領収書がついていないことがわかりました。再送にご協力ください」のような感じです。

英語圏のスタッフ同士でメールをする時は、基本的に下の名前(ファーストネーム)を使い、敬称は付けません。

外資系企業③「Dear ○○ san」は「ちょっと気持ち悪い」

外資系企業にいた時、筆者の上司がアメリカの帰国子女で、日本語より英語の方が上手な方でした。日本語で会話していても、話の途中から英語に切り替わることも。ゆえに、筆者の独学で身に付けた英語のメールには、時々指導が入りました。

例えば、クライアントの社長に対して「Dear Mark san」などと「さん付け」をしようものなら、「これは英語としてオカシイ、使っちゃだめ」と注意されました。

英語圏の人の感覚的に、ファーストネームで呼ぶなら、「Dear Mark」で十分なんだそうです。英語に「さん付け」をすると、帰国子女の人曰く「ちょっと気持ち悪い」らしい。

その辺の感覚的な部分は、正直言って筆者には分からなかったものの、とりあえず「San」を付けると変だと注意されたので、その後は付けなくなりました。たとえ相手が社長でも、外人であればファーストネームを呼び捨てにし続けました。笑

遅刻の連絡

日系企業:謝る

続きまして遅刻の連絡です。これも明らかな差があり、大変興味深い部分です。

下記、ある日系企業の遅刻の連絡メールの例を見てみましょう。(※始業時刻を仮に9:30とします。)

件名「山田は本日9:40に出社させていただきます」

○○部の皆さま

おはようございます。

お疲れ様です。山田です。
本日、田園都市線の遅延のため、到着が9:40になる予定です。
申し訳ございません。
ご迷惑をおかけしますが、どうぞよろしくお願いいたします。

山田

山田さんは、電車の遅れにより、10分遅刻してしまいますが、平謝りしています。誰にどのような迷惑がかかるのかは、ここではよく分かりませんが、始業時刻に会社にいないことに対して、謝っています。

外資系企業:件名に要点のみ

続いて、外資系企業の遅刻連絡です。まず、10~30分程度であれば「連絡しない」というのが最もポピュラーでした。誰もそこまで気にしていない、朝の30分ぐらいいなくても誰も困らない、そこにいない人は除外して仕事を進める、というのが実情。

とは言え、後で何か言われた時に面倒なので、筆者は一応次のようなメールを入れていました。

件名「Suzuki(自分の名前) / train delay / office 9:40」

(本文無し)

社内なら、件名に要件だけ入れて、本文は何も入れません。オフィスには日本語を話さないスタッフもいたので、全員へのメールは常に英語です。毎回わざわざメールをクリックして開けなくても、概要が分かるように、件名に結論だけをシンプルに書くのがお作法。

こうして比較してみると、日系企業と比べて、メールに対する目的や熱量が全然違うことに気づきます。比較してみると、外資系と日系のメールには、次のような特徴があります。

  • 日系企業
    • メールでも対面と同じような丁寧さが求められる
    • 「減点方式」で見て、相手の気分を損ねない文章が喜ばれる
  • 外資系企業
    • メールはあくまでも「手段」
    • ビジネスで長いお手紙を書いてしまうと、相手がそれを読んで理解してくれたかどうか分からないと考える
    • 相手の時間を使わせないことに気を遣い、論点を簡潔に書くことが求められる

上記のように、日系企業では減点方式で評価されるためか、メールでも丁寧さが重視され、減点箇所を作らない所がポイントです。一方、外資では、内容を短時間で伝える手段としてメールが使用されていて、短くて簡潔なメールが多いです。

メール一つ取ってみても、「ところ変われば、常識や非常識も変わるんだな」と思いますよね。

病気による休暇取得の連絡

次は、病気による休暇を取得する時の連絡方法です。これも大変興味深いです。

日系企業:謝る

日系企業の場合は、こんな感じです。

○○部 皆さま

おはようございます。

お疲れ様です。山田です。

本日、風邪で熱があるため、有給休暇を取らせていただくことになりました。
明日は出勤できるよう、体調管理に勤めさせていただきます。
ご迷惑をおかけして申し訳ございません。

よろしくお願いいたします。

山田

風邪で熱があるのに、平謝りしています。これも減点方式への対策で、マイナス評価を生み出さないことに尽力していることが分かります。

体調が悪い中、上司に欠勤連絡をした後で、わざわざメールを開き、この長文を考え、ところどころ改行まで入れて作成したのかと思うと、何だか可哀想で、「いいから早く休んで」と思っちゃいます。(T-T)

外資系企業:件名に要点のみ

続いて、外資系企業の病気による休暇連絡です。

件名「Suzuki(自分の名前) / sick leave today」

(本文無し)

遅刻の連絡と同様に、件名に休みを取得することだけを入れ、本文無し。体調が悪いのであれば、この程度で十分なのではないでしょうか。

こちらも、全スタッフが理解できるように英語で、更に受信メールをわざわざクリックして開けなくても良いように、件名に結論だけをシンプルに書いています。

多くの外資系企業では、有給休暇の他に「Sick Leave(シックリーブ)」という休暇があり、病気や怪我で出社できない場合にこの休暇を取得し、給与は補償されます。会社によって違いはあれど、年間何十日か与えられています。

※日系・外資系ともに、直属の上司には別途、欠勤連絡を入れていました。

こういった連絡方法の違いは、日系から外資に移ったばかりの頃はびっくりしました。でも一度慣れてしまえば、外資系のコミュニケーションの無駄の無さ、シンプルさはとても快適です。外資系に転職してよかった所と言えます。

「お疲れ様です」の常識・非常識

また、「お疲れ様です」という言葉も、日系企業と外資系企業での取り扱いが全く違い、たいへん興味深いことが分かりました。

日系企業:どんな場合でも全員に「お疲れ様です!」

日系企業の社内で誰かとすれ違う時は、それがたとえトイレの中であっても、洗面所で歯を磨いていた場合でも、どうにかして「お疲れ様です!」と言うことが必要。

筆者は一度、日系の会社のトイレで気づかないうちに「お疲れ様です」と言いそびれたらしく、上司に「トイレでお疲れ様ですを言い漏れた件」について、真剣な顔で注意されたことがあります。

日系企業にとって「お疲れ様です」とは、本当に大切なワードで、それを全員に対して等しく言うことに意義があるんだな、と実感するエピソードですね。(いえ、決して、私は笑ってないですよ!笑)

このようなノリですので、人数が多い会社だと、年がら年中、朝から晩まで、歩きながらずっと笑顔で「お疲れ様です!お疲れ様です!お疲れ様です!お疲れ様です!」と言い続けることになります。

「お疲れ様です」=「ご安全に」も

また、日系企業によっては、「お疲れ様です」に替わる言葉で「ご安全に!」を多用する職場も存在します。

ある企業では、「ご安全に」を毎日のあいさつ代わりに使っていました。メールの最後に接尾語として、「ご安全に」と書かれたり、社内アナウンスの冒頭が「皆さん、ご安全に」で始まっちゃうことも。

外資系企業:「I am not tired」

次に、外資系企業における「お疲れ様です」を考察します。

例えば米国帰りの帰国子女にとって、「お疲れ様です」という言葉は、意味がはっきりしなくて、不可解なワードNO.1のようでした。英語圏のように直接的で解りやすい表現を好む(ローコンテクストな)言語文化の人から見ると、「この人は、私が疲労していると思っているのか?」ととらえられる可能性があります。

筆者は一度だけ、日系企業のクセで、半分アメリカ人の上司に「お疲れ様です」と言ってしまい、「I am not tired(私は疲れてないんだけど)」とボソッと言われたことも。笑

外資系企業では、形骸化した言葉を言うぐらいなら、「Hi 上司さん、元気?」みたいな感じで、世間話をした方がよっぽど喜ばれました。

(例外)外資系企業でも、日本が長い場合

ここで一つ注意点があります。ひとくくりに「外資系企業」と言ってきましたが、世の中には、外国資本でも、日本でビジネスを何十年、または百年以上の長きにわたって、存続している会社があります。

そのように長年日本でビジネスをやっている企業の場合、元々は外国資本でも、実際の中身は完全に日系企業になっていることがあるので、見極めには注意が必要。

これを転職の選考段階で見抜くのはかなり難しいですが、①組織における日本人の比率と、②「新卒が多いか?中途が多いか?」などの部分で、ある程度見分けることができる気がします。

例えば外資系でも、「社員数が多く、その中でも日本人が多く、なおかつ新卒を大事に育てるカルチャー」の場合は、「会社が外国資本でも、社員の考え方は100%日系企業」だったりします。バリバリの外資に行きたい方は、こういった点にもご注意ください。

その逆で、「純粋な日系企業でも、外資から転職して来た人たちが多い組織は、外資度が高い場合がある」と聞きます。外資系からの転職者が多い会社の場合、たとえ日系企業でも、社内でのコミュニケーションは外資っぽくなりがちなのだとか。

ということは、もしかしたら問題は、「その会社が外国資本なのか国内資本なのか」というよりも、中にいる社員が「外資タイプ」か「日系タイプ」かによって、変わってくるのかもしれません。

まとめ

以上、転職して外資系と日系企業の両方に所属した筆者が、両者における「社内メール、遅刻・欠勤の連絡、『お疲れ様です』の使い方」の実体験を元に、カルチャーの違いやよかった所を考察してみました。

この3つを取り上げただけでも、両極端ですよね!「ある世界の常識は、別の世界の非常識」と、実感できるのではないでしょうか。

ちなみに筆者は、外資系企業と日系企業はそれぞれ一長一短あり、どっちが優れているとも思っていません。思っていませんが、「どっちが働きやすい?」「居心地がよかったのはどっち?」と考えると、「一度外資系に行くと、もう日系には戻れない」というのが正直な感想かもしれません。

本記事が、読者の皆さんの職場探しの参考になれば、とても嬉しいです。ここまでお読みいただきまして、ありがとうございました。

コメント