【5日目】スペイン巡礼の道(カミーノ)に神様はいるのか?日本の熊野古道との比較 | mikolog

【5日目】スペイン巡礼の道(カミーノ)に神様はいるのか?日本の熊野古道との比較

スペイン巡礼の道

スペイン巡礼の道(カミーノ)で、サリアからサンティアゴ・デ・コンポステーラまでの110㎞を、トータル6日間で歩いた旅行記です。5日目はアルスア~オ・ペドゥローソの約19㎞を歩きます。

突然ですが、神様っていると思いますか?(ちょっと待って、帰らないで、怪しい宗教ではありません!笑)普段の筆者は現代日本人を象徴するような「無宗教」の人間ですが、バックパックを背負って110㎞歩く、というような苦行を続けると、なぜかそんなことも時々考えながら歩くようになっていました。

今回のブログでは、スペインの巡礼の道を歩いてみた筆者(無宗教)が、神様はいるのか?ということを考察してみます。その際、日本が誇る世界遺産・熊野古道とも比較して考えてみました。熊野古道は、スペインのカミーノと同じように道全体が世界遺産になっていて、その共通点から両古道は姉妹道提携を結んでいるのです。

これを読めば、苦行を行った現代人がたどり着く思考、そして実体験に基づく熊野古道とスペインの巡礼の違いが分かっちゃいます!早速読んでみましょう。

5日目:アルスア~オ・ペドゥローソ

朝もやがかかる森の中

この日は、朝7時頃にバルで朝ごはんを食べて出発です。朝ごはんは、カフェ・コン・レチェとトーストで2ユーロぐらい。お財布にやさしい!

毎日歩いていると、気温の上昇と共に少しずつ景色が変わってくるのが分かり、早朝の楽しみになりつつあります。日の出のあと気温が上がってくると、画像のようにモヤがかかってきて、森の中が幻想的な雰囲気に。

本日で5日目になり、スペインの巡礼の旅も残すところあと1日、距離にして残り約39㎞です。筆者は右膝を痛めてしまったので、痛み止めを飲み、塗り薬を塗りながら歩いていました。

怪我をした時の様子や対処法については、スペインの巡礼3日目のブログに実体験をまとめていますので、こちらもお読みいただけると嬉しいです。

朝もやの中を一本道が続く

歩いていると、上の画像のような絵本の世界みたいな一本道に差し掛かりました。周りに人は誰もいなくて、朝もやの中をどこまでも一本道が続いています。

あまりにも綺麗でびっくり。こんな景色を独り占めしていることにドキドキでした。

後ろを振り向くと、朝日がさしている

この時、うしろを振り返った景色が上の画像です。

東からのぼった朝日が、真後ろから差しているのが分かります。まさに西のサンティアゴに向かって歩いていたわけですね。

後にも人は誰もいません、早起きして良かった!

綺麗に整備された沿道の庭と畑

しばらく進むと、上の画像のようにきれいに整備された庭と畑の前の道に差し掛かります。

近くの畑では、生まれたばかりの子犬が4匹ぐらいじゃれ合う、のどかな光景が広がっていました。

朝ごはんを食べる羊

画像のように、羊(多分)を飼っている家があり、動物たちが朝ごはんを食べている様子も。

ここまでくると、なんだかおごそかな気持ちになっていて、「生命体って素晴らしい」みたいな境地でした。

緑がいっぱいの沿道に、「あと27.0㎞」の標示

こちらの画像の左手に、「K 27.0」と赤文字で書いてあります。サンティアゴまでの距離は27㎞。初日にサリアで歩き始めた時は「K 111.5」だったのに、残りあと4分の1に!

以前、ピレネー山脈から800㎞歩いてきた人が、「もうすぐ巡礼が終わってしまうことが信じられないし、寂しい」と話してくれたことがあります。その時筆者はまだ、歩き始めて2日目。「こんな苦行あと1日も続けられる気がしない」と思っていたので、正直なところ全く共感できなかったんですね。

ただ、不思議なものでこうして終わりが見えてくると、「カミーノもう終わりなの??」と、信じられない気持ちになってきます。「ああ、あの時の人はこういう気持ちだったのかな」と、初めて分かりました。

ついに「サンティアゴ」の標識が

その後歩き続けると、画像のように「サンティアゴ」の標識が出てきました!徒歩でここまで来れたことが、本当に信じられません。落書きがたくさんあり、「Finalmente!(ついに)」みたいな巡礼者の喜びの声も。笑

途中のバルで、巡礼中のアメリカ軍の人と少しおしゃべりしました。筆者が手持ちのキャップを日よけにかぶっていたら、アメリカ系航空会社のロゴが入っていたので、何となく仲間と思われたようでした。

彼はさすがに軍人さんだけあって、一日40㎞以上は余裕で歩いてるとのこと。「君も今日中にサンティアゴに着けるよ!」と励ましてくれたものの、レベルが違いすぎてそんなに歩けません!笑

ということで、この日は無事に19㎞を歩き、オ・ペドゥローソの町に到着しました。巡礼用の地図を見ると、この町の宿は「アルベルゲ・デ・アルカ・ド・ピノ」の1軒しか書いてなかったので、皆だいたいここに泊まったのではないでしょうか。

宿では、途中で仲良くなったアジア系のお姉様がミートパスタを作ってくれて、一緒にごちそうになってしまいました!デザートのヨーグルトまで完食。

あと一日でゴールです。

熊野古道とスペイン巡礼の道・両方を歩いてみた感想

ところで、スペインの巡礼の道と同じように、我らが日本にも道全体が世界遺産になっている「熊野古道」があることをご存知でしょうか?

熊野古道は、熊野三山(熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社)に通じる参詣道で、道は三重県や和歌山県など複数の県にまたがります。スペインの巡礼の道との共通点から、両古道は1998年に姉妹道提携を結んでいます。

筆者は以前、熊野古道の「馬越峠」という道を3時間ぐらいかけて、トレッキングしました。

熊野古道をトレッキングした時の思考

熊野古道の馬越峠を友人と歩いたのは9月ごろ。距離にして5㎞だったこともあり、はじめは1時間ぐらいで行けるかな?と高をくくっていました。

実際行ってみると完全に山の中に入るのでアップダウンも激しく、途中休憩も含めて3時間ぐらいはかかりました。

トレッキング中は、中学の部活並みにきつくて汗だくになり、途中で「せめて古道じゃなくて、山と名乗ってほしい」と切実に思ったほど。

湿度が高くて「もわー」っとした雨が降っていましたが、その湿潤さが熊野古道にはぴったりで、ここはきっと年中こんな風に雨が降ってるんだろうなと思いました。

「馬越峠」の様子

水分をたっぷり含んだ緑、苔むした森の中で、延々と続く石畳。生い茂るシダの中を歩くと、雨で増水した滝が石畳の道にも溢れて、小川と化していたり。

「馬越峠」を更に奥まで入って行った景色

そんな中を何時間も歩いていると、ふと「神様がいるとしたら、こういうところにいるのかも」と思いが沸き上がります。よくわからないけど、熊野古道の自然の中に偉大な何かを感じました。

なお筆者は、スピリチュアルなものには全く興味が無く、目に見えないものは信じません。どちらかというと株価とかに興味がある性質です。

そんな人間でも、「熊野古道には神様がいてもおかしくない」と思ってしまう何かがありました。

カミーノに神様はいるのか?

森の中の家とニワトリ

一方、スペインのカミーノも本当に良い経験で、当ブログでは全7記事に渡って書いていますが、生涯忘れられない経験になるんじゃないかなと思っています。

特にこれと言って信仰心も無い筆者は、普段の生活で宗教を意識する機会といえば、お葬式や法事の時ぐらい。そんな自分がサンティアゴまで110㎞自力で歩けたのは、おそらく信仰心ではなく、周りの人がいて、何かあった時に助けてくれたからじゃないかな、と思います。

更に熊野古道での思考と比較して、「それじゃカミーノに神様がいるのか?」と考えると、正直言って歩きながらそういう思いになったことはありません

これはもしかしたら筆者が日本人で、体のどこかに神道のDNAがあるからかもしれませんが、ガリシアでめちゃくちゃ綺麗な景色を目撃しても、熊野古道で感じたみたいな「自然そのものへの畏怖」は、あまり感じませんでした。

むしろカミーノで感じたのは、人と人とのつながりです。

沿道の町でサポートしてくれる人たちや、一緒に歩く各国からの巡礼者たちからもらったエネルギー、そしてそれに対する感謝の気持ちが原動力になって、バックパックを預かってもらいながらでも、巡礼にコミットすることができたのだと思います。

だからもし、誰かに「カミーノに神様はいるのか?」と聞かれたら、筆者はこう答えると思います。「カミーノに神様はいると思います。ただ、それは助け合おうとする人々の間に存在するんじゃないか」と。

これはあくまで筆者個人の経験による感想です。他の方、他の国や宗教の方が歩いてみてどういう風に感じたか、じっくり聞いてみたいなと思いました。(もう一回巡礼に行くしかないな?)

本日の経路

本日は、アルスア~オ・ペドゥローソの19㎞を歩きました。ありがとうございました!

まとめ

以上、スペイン巡礼の道5日目について、熊野古道との比較、更に巡礼の道に神様はいるのか?という考察を書かせていただきました。

毎日歩いていると、日本の日常生活ではあまり考えないようなことを考えるようになる、というのも不思議な体験ですね。

「Cafe Che」で休憩

さて、この日はバックパックを次の町に送っておいたのですが、地図に宿が1軒しか載っていなかったのを怪しんで、「Cafe Che」という大きめのバルに送ってみました。

宿に限らず、独占市場というものを筆者は信じておらず、自分の目で宿を見てから決めたい、という直感が働いたからです。(結局その宿をチェックして、大丈夫そうと判断して泊まったんですけどね)

バルに到着後、バックパックを引取るついでに水分補給していたところ、お店のお兄さんが無言で画像のようなケーキを付けてくれました。やった!本当にガリシアの人は、巡礼者にやさしいです。

ケーキの上に乗っているのは、一見チェリーに見えますが、実際はフルーツではなく砂糖菓子でした。ケーキの味は、「甘い」のひとこと。甘いスポンジの間に、甘いペーストが挟まっていて、その上に甘いクリームがトッピングがしてある感じ。

そう、スペインのケーキやお菓子って、ひたすら甘いんです!日本のお菓子の繊細な甘さを予想して食べると、ちょっとびっくりすることも。笑

ここまでお読みいただきまして、ありがとうございました。

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