スペイン巡礼の道の、サリアからサンティアゴ・デ・コンポステーラまでの110㎞区間を、女性一人で歩いた旅行記です。2日目は、ポルトマリン~パラス・デ・レイを歩きます。距離にして約22㎞、一般に大人の足で約6時間ぐらいと言われています。
巡礼の道(カミーノ)について調べている方の中には、「実際に歩いてみたいけど、ルートはどんな感じなの?」とか、「そもそも荷物を背負った徒歩の旅で、だんだん疲れてきたらどうすればいいの?」など、心配な所が多々あるかと思います。
そこで今回は、「ポルトマリン~パラスの様子」と、「これ以上歩けなくなった時に、ちょっと助かる裏ワザ」についてご紹介します。体力に自信のない方、初心者の方、女性やお子様連れの方などには朗報です!
これを知っておけば、疲れた時にリタイアしてしまうことなく最終目的地のサンティアゴにゴールでき、ちゃんと巡礼証明書もゲットできちゃいます!それでは早速見てみましょう。
2日目:ポルトマリン~パラス・デ・レイ
朝5時~6時ぐらいにドミトリーの人たちは起床し始め、寝袋や荷物をまとめます。目覚まし時計は一応6時ぐらいにかけていましたが、ガサゴソ音がしたり、2段ベッドを降りる動きでベッド全体が振動がするので、結局6時前には目が覚めていました。笑
早いと5時台にアルベルゲを出る人もいて、遅くてもだいたい7時ぐらいまでには次の町に向かう人が多いです。朝食は近くのバルで、温かいコーヒーとトーストなどをつまみました。
そういえば、スペインのコーヒーは大変美味しいです!呼び方も簡単。コーヒー:牛乳の比率によって決まります。
- カフェ・コン・レチェ(1:1)=カフェオレ
- カフェ・コルタード(2:1)=エスプレッソ
- カフェ・ソロ(1:0)=ブラック
カフェ・コルタードとカフェ・ソロは、小さめのカップで出てきますので、たくさん飲みたい方はお代わりするか、カフェ・コン・レチェにしましょう。
筆者はスペインで「アイスコーヒー」はほとんど見たことがありません。どんなに暑くてもコーヒーはホットが基本のようです。今回は春でしたが、真夏に訪れた時でもホットコーヒーしか見たことありませんでした。
しかし、暑いのになぜかホットが美味しい。空気が乾燥しているからでしょうか。
さて、この日の天気はくもり。緑の中で家畜が草をはむのどかな光景や、犬や猫がのんびり寝そべっている景色が続きます。
画像は乳牛でしょうか。この辺りは牛が多いです。
画像のように、民家があってもほぼ牛しかおらず、人はあまりいません。十字架が建っている所は、墓地でしょうか。ここで生まれて、畜産業をして生計を立て、ここでお亡くなりになった方だったりするのかな、などと想像しながら歩きました。
カミーノの良いところは、自分のペースでプランニングできる所だと思います。基本的にはどこでスタートしてもOKだし、ゴールへの速度を競うものでもありません。無理のない範囲で自分でペースを調節できます。
体力に自信があれば一日50㎞歩いてもいいし、ゆっくり景色見ながら行きたい人は一日20㎞前後でも大丈夫です。
ただ、サンティアゴの教会で巡礼証明書を申請する時には、「毎日休まずに継続して歩きましたか?」等を口頭で確認されます。完全に休んでしまわないようにご注意くださいね!
こちらのカフェには「Fuente del peregrino(巡礼者の泉)」と書いた水飲み場があり、「良い巡礼を!」と書いてくれています。ここは「水」が出るようですが、サリア以東のある町では、「赤ワイン」が出る水飲み場があるという話も聞きました。
巡礼者(Peregrino)は、自ら苦行を行っているということで、沿道の住民全体で巡礼者をバックアップしてくれています。
実際に巡礼中に見て嬉しかったのは、バルや民家の外に、小さいテーブルと椅子が出してあり、「Gratis(無料)」と書かれたポットのコーヒーとおやつが置いてあったりします。「休憩してきなさい」ということのようです。もう、スペインに足を向けては眠れません!
また、町中のバルでも巡礼者用の特別メニューをよく見かけたり、巡礼中と分かるとお店の方がさりげなくデザートをサービスしてくれたりしました。観光面でも、博物館や大聖堂などの割引もあるようです。
画像は、車道の近くを徒歩で通行するエリアにあった標識です。
「Atencion! Cruce camino de Santiago(注意!ここは巡礼の道です)」とあり、車両に巡礼者の注意を呼び掛けています。沿道や地域全体で巡礼者を保護している雰囲気が、伝わります。
画像は、途中休憩で立ち寄ったバル&宿泊施設にあったアリのオブジェです。お店の名前は「a paso de formiga」、直訳すると「アリの歩み」、ちょっとカッコよく訳すると「徒然なるままに」みたいな感じでしょうか。巡礼者を表現していると思われます。おっしゃる通り、本当にアリがちょこちょこ歩くみたいに一歩ずつ進むしかないんですよね。
この日は約22㎞を歩き、午後14時過ぎにパラス・デ・レイに到着しました。お昼休憩とバルでの休憩を入れて、だいたい8時間ぐらいだったと思います。足が痛くてゆっくりしか歩けず、結構時間がかかっています。
足が痛くて一歩も進めなくなったらどうするか?
絵本から抜け出たような景色、優しい人々、治安も良い。と、ガリシア地方は最高なのですが、問題が!サリアから終日バックパックを担いで40㎞以上歩いたため、すでに足が痛くて限界が来ています。笑
筆者は、この先どうやって残りをコンプリートするのか、正直言って想像がつかなくなってきました。
途中で知り合ったイギリス人の夫婦と話していたら、「私たちもサリアから歩き始めたばかりだけど、すでに足めっちゃ痛い、どうしよう!笑」とのこと。どうやら、似たような状況のようです。
「明日からどうする?バス乗りたいけど、、まあもうちょっと頑張ろう!」などと励まし合っていました。
ここで、普段歩きなれていない方に朗報です。「最後まで歩きたいけど足が痛くてもう限界」、「荷物さえ無ければもうちょっと頑張れるかも」という方に、重いバックパックだけ次の町に運んでくれる神サービスがあります。
- 巡礼者のための荷物運搬業者で、荷物を車で宿から宿へ届けてくれるサービス
- モチーラ=「手荷物」の意味
- 利用方法
- 宿で専用のタグをもらい、自分の名前と連絡先、届けて欲しい宿の名前と町の名前を書き、大きい荷物を預けるだけ
- 宛先は宿でなくても、大きめのバルの名前を書いても届く
- 貴重品の管理はお忘れなく
- 料金:1区間約3ユーロ~(安くないですか!?)
筆者が歩いていた時は「モチーラ・エクスプレス(Mochila Expres)」という業者の名前をよく目にしました。
「モチーラ・エクスプレス」は、サリア~サンティアゴ間の主要な町(サリア、ポルトマリン、パラス、メリデ、アルスア、ペドゥローソ、サンティアゴ)をカバーしています。
画像は、実際にバックパックを預けてみた時のタグです。(このサービスによほど感動したようで、タグが残っていた。)
上に自分の名前と電話番号、下にバルの名前と町の名前が書いてあります。もちろん、「Cafe Che」に行ったことがない状態で行先指定をしていますが、着いたらちゃんとバックパックが届いていました!
歩くのが辛すぎて心折れそうな時、ついバスやタクシーに乗りそうになってしまった時、このサービスがあればちょっと元気が出てくること間違いなしです。筆者は利用してみて、「バックパックが無いとこんなにサクサク歩けるの!?」と衝撃でした。
「もう無理」と思ったら、是非このトランスポルテを思い出してみて下さい。
そして、ゴールまで行きましょー!
本日の経路
この日は、ポルトマリン~パラス・デ・レイの約22㎞を歩きました。ありがとうございました!
まとめ
以上、スペイン巡礼の2日目ポルトマリン~パラス・デ・レイ間と、荷物が重くてこれ以上歩けなくなった時の裏ワザについてご紹介しました。可能な限りは自分でバックパックを運びたいところですが、実際預けると圧倒的に快適ですので、覚えておいて損はないかと思います。
カミーノに行ってみたいけどあまり歩きなれていないから不安、という方や、体力にあまり自信がないという方が、少しでも安心して挑戦していただけるきっかけになれば嬉しいです。
ここまでお読みいただきまして、ありがとうございました。
コメント
こんにちは、3日目へのコメントですが、そこにコメント欄が見当たらなかったのでこちらに書かせてもらっています。
病院に行った話が凄く面白かったです(いや失礼)。私も巡礼中にスネがぷっくり膨れて熱を持ち、痛くて仕方なかったのです。ネットで検索したら疲労骨折のようでした。薬局で湿布を買おうとしたら、「こりゃ薬じゃダメだから病院へ行け」とのこと。私のスペイン語は片言どころじゃないので、受付の人は面倒なことは言わないし書類もなしで、パスポートだけ見せれば無料で診て貰えました。書いてもらった処方箋のお陰で、薬局から3ダースの痛み止めが1ユーロでした。
すぐフェイスブックに書いたところ、スペイン人が「それはスペインの良い制度だ」とコメントがありました。スペイン人も外国人も等しく無料だそうです。こちらとは若干話が違いますね。
でも私立病院は高いそうですが。
おくの様、
はじめまして。見ていただいて、ありがとうございます!
おくの様も巡礼中に病院に行かれたとのこと、
さらに疲労骨折とは、大変なご経験をされたのですね。。
(ご無事でよかったです!)
私の話は失敗談で、お恥ずかしい限りなのですが、
スペインの病院で無料でみてもらえる場合があるとのこと、大変勉強になりました。
この記事を書くにあたり、スペインの医療制度についてネットで調べ、
次のような情報を参照しました。
「スペイン国家に税金を支払っている人は、国民医療保険に加入できる。
この保険に加入していれば、スペイン国内の公的医療機関で
あらゆる治療を無料で受けることができる」、とのこと。
さらに、どうやら旅行者はこの保険からは除外されていて、
「税金を納めていない短期旅行者などは、民間の保険を使用する必要がある」とのことでした。
https://www.spainnotobira.com/kurashi_health2/
こうした情報と、当時の病院スタッフの案内から、
当初は民間の保険利用の手続きをしようとしていたのかな、と考えました。
とはいえ、最終的には私も無料でみてもらったので、
わりと臨機応変に運用されているのかもしれません。笑
また、コメント欄の表示が一部チェックが外れていたようで、失礼しました。
修正しておきます!
お返事ありがとうございます。スペインの医療制度、初めて詳しく読みました。外国人は丸きり無料ではなかったんですね。言葉がろくに通じない外国人なので、アバウトに処理してくれたようです。スペインの良いところで助かりました。日本じゃこうは行きませんよね。
痛み止めを飲みながらゆっくり十日間ほど歩き続けたら治って、その後は痛くはなりませんですた。運が良かったです。
おくの様、
お返事いただきありがとうございます!
おっしゃる通り、これが日本だとまた話は変わってきそうですね(笑)
巡礼中の外国人にとっては、ありがたい限りです。