【1日目】スペイン巡礼での生活の特徴や宿で注意したいこと | mikolog

【1日目】スペイン巡礼での生活の特徴や宿で注意したいこと

スペイン巡礼の道

スペイン巡礼の道、1日目(サリア~ポルトマリン間、約21.5㎞)の旅行記です。この記事をお読みの方の中には、「巡礼の道(カミーノ)を実際に歩いてみるとどんな様子なの?」とか、「アルベルゲ(宿)って格安で泊まれるみたいだけど、どんな感じ?」と、不安な点がある方もいるのではないでしょうか。

今回は、筆者がサリアからサンティアゴ(約110㎞)を歩いた体験をもとに、主に次の2点について書いていきます。

  • スペイン巡礼の1日目サリア~ポルトマリンの様子
  • クレデンシャルと巡礼証明書について
  • 道に迷わないために覚えておきたいこと
  • 巡礼者の宿「アルベルゲ」の特徴や注意点

この記事を読めば、初めて巡礼に行く方や、女性一人で行ってみたいけど迷っているという方も、巡礼の様子や、カミーノで気を付けたいことが分かっちゃいます!それでは早速見ていきましょう。

1日目:サリア~ポルトマリン

さて、日本からはるばるサリアまでやってきました。1日目はサリア~ポルトマリン間、約21.5㎞を歩く予定で、これは大人が歩いて約5-6時間の距離。

1日分のスケジュールを決める時に、ミシュラン発行のカミーノ地図の情報と、現地のガリシア人に話を聞いた情報を参考にしました。(もちろん一日に歩く距離には個人差があり、1日40㎞ぐらい歩く方もいます。)

日本からサリアまでの移動や、ミシュランの地図については、スペイン巡礼の道を女性一人で歩いてみた!準備のポイントとはの記事で解説しています。こちらもお読みいただけると嬉しいです。

巡礼では「クレデンシャル」が必要になります。クレデンシャルというのは、この後にも詳しく説明していますが、巡礼者の証明書のこと。教会や公営アルベルゲなどで入手できます。

カミーノは、基本的にどの地点から歩き始めてもOKなのですが、筆者は巡礼証明書がもらえる最短距離を狙うべく、サリアから出発しました。クレデンシャルもサリアの教会で入手しました。

サリアの教会、おごそか…

訪れた教会は、画像のように小さなパティオがあり、緑がたくさんあり、静かで雰囲気が抜群でした。柱のアーチが綺麗です。ここで神父さんに「クレデンシャルが欲しいのですが」と話かけて購入し(2ユーロぐらい)、最初のスタンプを押してもらいます。

サリアの教会でクレデンシャルを発行してもらう

その時、教会の神父さんに発行してもらったクレデンシャルの一部が、上の画像です。神父さんとはスペイン語で話しましたが、とてもお優しい雰囲気。

色々質問して、「巡礼者が付ける貝殻はどこで買えばいいですか?」と聞いたら、「うーんそれは分からないんだけど、代わりにこれあげるよ」と言って、マリア様の画像が入った小さな貝殻をくれました。そういえば、人生でキリスト教の神父さんとじっくり話したのは、これが初めてかもしれません。

巡礼者が付ける貝殻

上記画像が、巡礼者が付ける白い貝殻です。結局、町中のお店(お土産屋さんみたいな所)で買えました。値段は店によって色々ですが、1~5ユーロぐらい。一目で巡礼者と分かるので、最初からバックパックに付けておきましょう。

クレデンシャルについては、下記で詳しく説明します。

クレデンシャルと巡礼証明書

クレデンシャルは、巡礼中ずっと使用する紙のスタンプ帳のようなものです。日本で言う「御朱印帳」のようなイメージに近いかもしれません。

クレデンシャル全体図

こちらが、筆者が使用したクレデンシャルです。最終目的地のサンティアゴの教会に着いたら、これを巡礼の証明書として提示するので、道中なくさないように大切に取り扱います。

サンティアゴで承認されたスタンプ

サンティアゴの教会で、毎日休まず歩いたことを申請し、画像のように承認してもらいます。左にチェックが入っている「a pie」というのは、「徒歩」という意味です。承認されると、下記のような巡礼証明書を発行してもらえます。

サンティアゴで発行してもらった巡礼証明書

巡礼証明書は、多分ラテン語で書かれていると思われます。筆者は昔、ラテン語の授業を趣味で取ったことがありますが、全く覚えておらず読めません(T-T)

巡礼証明書を発行してもらう条件

サンティアゴ・デ・コンポステーラで巡礼証明書を発行してもらう条件として、以下の2つを両方満たす必要があります。

  1. トータル100㎞以上を毎日歩くまたはトータル200㎞以上を自転車で毎日移動する
  2. クレデンシャルに1日2個以上スタンプ(Sellos)を押してもらう(立ち寄ったカフェテリア、バル、宿など)

実は馬で巡礼するのも正式に認められているそうです。(馬で何㎞必要かは忘れました。)どこかのアルベルゲで、馬をつなぐ場所があるのも見ました。が、さすがに現代では、馬に乗った人はすれ違いませんでした。

一方、自転車での巡礼している人は結構いました。筆者がてくてく歩いてると、さっきまでバルで一緒にコーヒーを飲んでた外人が「イエーイ!」とか言いながら、自転車でサーっと追い抜いていったり。笑 スピードが全然違うので、次は自転車もいいかな、と思いました。

さて、クレデンシャルをいただいた後、教会で神父さんに「Buen Camino!(巡礼いってらっしゃい)」と送り出してもらい、教会を後にします。

サリアの町に残る中世の巡礼の様子

サリアの町に、中世の巡礼者はこんな衣装だったのかな、という壁画が残っています。老人や子供も一緒に、家族でお参りしたようですね。しかしこの絵は荷物が少なくて羨ましい。

ところで、筆者は日本からヨーロッパまで飛行機で来てそのまま夜行バスで早朝サリアに着いたため、お風呂に丸1日ぐらい入っていませんでした。「みそぎ」じゃないけどシャワーだけ浴びたいなと思い、朝から開いていた宿を訪ね、シャワーを使わせてもらいました。(宿泊料金に相当するお金を払ったと思います)

立ち寄った宿は、「Albergue O Durminento(アルベルゲ・オ・ドゥルミネント)」。よく眠れそうな名前の通り、リラックスできる良い宿でした。次回は泊まりたいです!

この宿で友達と待ち合わせしている韓国人の女の子がいて、今日か明日ぐらいだと思うけど、いつ友達が来るか分からないから、昼寝しながら待つと言っていました。笑

道に迷わないために覚えておきたい「黄色い矢印」

カミーノでは、地図を見ながら見知らぬ町を歩きます。不慣れな外国人が、道に迷わないためには、どうすればよいでしょうか。

サリアで見つけた石碑。サンティアゴまで残り「111.5㎞」

まず巡礼のルートには、画像のような小さい石碑が、要所要所で立っています。巡礼者はこれを見て現在地からサンティアゴ・デ・コンポステーラまでの正確な距離が把握できます。この画像の場所からサンティアゴまでは、残り「111.5㎞」だと分かります。

この石碑以外にも、巡礼ルートには黄色い矢印や貝殻マークが設置してあります。初めて来た人が迷いそうな道でも、ちゃんと順路が分かるように工夫されています。

巡礼ルートを示す石碑と黄色い矢印

例えば上の画像では、石碑と黄色い矢印が巡礼ルートの方向を教えてくれています。巡礼者は、このサインを見ながら歩けば道に迷うことは少ないでしょう。

巡礼ルートに設置されている看板

上の画像のような看板もありました。巡礼ルートで、少しでも迷いそうな岐路には、こうして看板や黄色い矢印を設置してくれています。さすが、スペインが誇る世界遺産だけあって、巡礼者を保護してくれています。

そんな親切な巡礼ルートなのに、筆者は一度、うっかり道に迷ったことがあります。黄色い矢印を見ずに、前の人に付いて歩いていたら、前の人もその前の人に付いて歩いていたことが判明したのです。うっかり者の3人が、全員一緒に道を間違えてしまいました。

その時は、たまたま近くの畑で農作業をしていた地元の方が、「外国人の巡礼者が道を間違えた」と一目で察し、「あー違う違う、あっちだよ!」みたいな感じで、正しい道を教えてくれました。巡礼ルートには戻れましたが、余分な体力と前後2時間ぐらいをロスする羽目に。

ということで、前の人ではなく黄色い矢印を見ながら歩くよう、ご注意ください!

サリアを出て歩き始める

朝のサリアを出発!

朝8時頃にサリアを出たので、スタートから大変気持ちの良い朝の森林を歩きます。少し雨がぱらついていました。歩いている人は時々いるぐらいで、そんなに混雑していません。

この時、前を歩くブルガリア人と少し話したら、なんと「村上春樹のオーディオブック」を聞きながら歩いていることが分かったのです。彼は、ハルキ・ムラカミを聞いている時に偶然日本人(筆者)と会ったことを大変喜んでいました。

  • ブルガリア人「ハルキ・ムラカミで一番好きな作品は?」
  • 筆者「ダンス・ダンス・ダンスかな」
  • ブルガリア人「僕はこういう風に解釈してるんだけど、日本人としてどう思う?」

みたいなことを、歩きながら話をしていました。

筆者は、大昔に何冊か読んだ程度だったので、詳しい話についていくのが結構厳しかったですが、まさかガリシア地方で英語でハルキ・ムラカミについて語りながら歩くことになるとは想像もしてませんでした。面白かったです。

緑の風景が続く

そのブルガリア人は、ピレネー山脈から1か月ぐらい歩いていたベテラン勢。一方筆者はこの日歩きはじめたばかりで、だんだん彼のペースについていくのがきつくなってきます。無理しないで行こうと思い、途中から一人でマイペースに歩きました。

画像のような、緑の風景が続きます。ガリシア地方は緑がたくさんあって、動物や家畜もたくさんいる、のどかな地域です。

これは多分羊

画像、多分羊だと思いますが、何匹かで草を食べていました。お食事中にすみません。。

動物が多いので、声をかけながら歩けて楽しいのですが、結構家畜のニオイはコンスタントにありました。仕方ないですね。

お天気は曇っていましたが、歩いているとポカポカしてきて、想像していたよりは寒くなかったです。時々雨がザーッと降ることがあったので、雨具をバックパックからすぐに取り出せる所に収納しておくと便利

巡礼者のための無料の宿が

道中、休憩できそうなカフェやバルがいくつかあるので、皆それぞれ立ち寄っています。

画像は「Dormir Gratis」とあるので、巡礼者のために無料でベッドを提供しているようです。ありがたい。無料といえど「心づけ」の5ユーロぐらいは置いていきたいですね。犬かわいい。

筆者は途中2回ぐらいバルに入り、冷たいレモンジュースなどを飲んで休憩しました。

ポルトマリンの町に着いた!

ポルトマリンの町が見えてきました!ここで21.5㎞歩いたことになります。休憩(お昼1回+カフェ2回)を入れて、だいたい7-8時間ぐらいかかったと思います。初日にしては上出来なんじゃないでしょうか。

かなりぐったりですが、最後の気力で宿を探してチェックインです。すでに足が痛くなってきました。笑

ポルトマリンで泊まったアルベルゲは、「Albergue Ferramenteiro(アルベルゲ・フェラメンテイロ)」。清潔で快適でした!これで、1日目は終了。

アルベルゲの生活と、注意点は?

カミーノでは、多くの人がアルベルゲ(Albergue)という巡礼者のための宿泊施設に泊まります。

宿泊施設では、基本的に皆それぞれ自由に過ごしていますが、1日に歩くペースが同じ人たちとは、毎日宿で顔を合わせることになります。共同生活っぽくて面白いけど、ドミトリーならではの気を付けたい点も。

下記に、アルベルゲの特徴と注意点を書いておきます。

  • 公営と私営がある
    • 料金:公営は5ユーロぐらいから、私営は8-10ユーロぐらい
    • 私営の方が設備が良いイメージ、時々ドライヤーがあったりするのは私営
    • 施設によっては公営の方が清潔で綺麗なこともあるので、部屋を見てから決めてもよい
  • 部屋は基本的に男女共同のドミトリーが多い
    • 宿によっては、男女別のドミトリーもある
    • 体育館みたいな広い部屋に二段ベッド、三段ベッドがずらりと並んでいることも
    • 大部屋なのでプライバシーは無い、なるべく着替えをしなくてよい服装にしていた(次の日の服を着て寝る、など)
  • チェックインするまで
    • アルベルゲによるが、13時ー14時ぐらいにチェックイン開始する所が多い
    • 早く町に着いた人から公営アルベルゲに行き、ベッドが埋まっていく(宿の前で順番待ちしていることも)
    • 公営が満室になったら、私営のアルベルゲに人が流れる感じ
    • 公営が満室で断られても、午後の間に2-3か所ぐらいまわればどこかに入れた
    • スペインは午後の日差しがきついので、午前中に巡礼ルートを移動して、昼過ぎには宿に入る人が多い
  • チェックインの流れとベッドメイクについて
    • チェックイン時にクレデンシャルを見せ、スタンプを押してもらう(巡礼の証明として1日2個以上のスタンプが必要。宿では毎回必ず押してもらう)
    • 宿の人にベッド番号をもらい、自分でその番号のベッドを探す
    • シーツと枕カバーは貸与されるので自分で取り付け、ベッドの上に寝袋を設置して準備完了!
    • 時々タオル1枚貸してくれる宿もある
  • 食事
    • 宿によっては食事が出る所もあるらしいが、筆者がサリア~サンティアゴ間で泊まったアルベルゲでは、食事は自己手配だった
    • キッチンとテーブルは使用できるので、食材を買ってきて自炊も可能
    • 朝食 例:近所のバルでコーヒーと甘いパンなど
    • 昼食 例:途中のバルで肉やスープなど
    • 夕食 例:顔見知りの人たちと宿で作って食べたり、皆で食べに行ったり
  • 洗濯
    • 宿に着いたらとりあえず洗濯を始める
    • コイン洗濯機・乾燥機が空いていれば使えるが、順番待ちのことも
    • 手洗いの場合、厚手の服を絞るのが意外と重労働
    • 物干しスペースがあり、自由に使用可能。洗濯バサミを持参している人もいた
    • 洗濯物は晴れていればすぐに乾くが、干しっぱなしで寝ると夜の間に雨が降ることも
    • トレッキング用の靴下は厚手で乾きにくいが、トータル3枚あればローテーションは問題なかった
  • シャワー
    • お湯はどのアルベルゲでも出たが、お湯の出については当たりはずれあり
    • 着替えるスペースなどは無いと思った方がよい
  • その他
    • 中には、「いびき」がすごい人がいるので、耳栓をして先に寝た方が良い
    • 電源コードが人気で、充電の順番待ちだった
    • コイン式「足マッサージ機」が設置されている宿では、マッサージ機の前で順番待ちだった
    • 他の巡礼者から、共同ドミトリーで電化製品(iPhoneなど)を充電中に盗難されたという話を聞いたので、持ち物から目を離さないように注意
アルスアのアルベルゲ “Via Lactea” の共同スペース

こちらはアルスアという町で泊まった史上最高のアルベルゲ “Via Lactea” です。画像のような感じで、外に共同スペースがある宿も。晴れていればとても気持ち良いです。

アルベルゲでは、皆さん基本的に自由に過ごしていましたが、何ぶんあまりプライバシーが無いので、しばらくすると共同生活に疲れてくる方もいるかもしれません。

プライバシーが欲しくなった時は、少しお金を出してHostal(オスタル)やホテルに泊まり、また気が向いたらアルベルゲに戻ればOKです。

本日の経路

サリア~ポルトマリン間、約21.5㎞でした!ありがとうございました。

まとめ

以上、スペイン巡礼の1日目サリア~ポルトマリンの様子と、「クレデンシャルと巡礼証明書について、道に迷わないために覚えておきたいこと、アルベルゲの特徴や注意点」について書かせていただきました。

特にサリアの教会でクレデンシャルを入手するのは重要ミッションですので、お忘れなく。そしてサンティアゴで巡礼証明書を発行してもらうために、クレデンシャルは道中も大切に保管し、文字やスタンプがはっきり見えるような状態を維持しましょう。

ここまでお読みいただきまして、ありがとうございました。

コメント